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屋根と学生を支える樹状柱、ユニークな木造建築が埼玉県に省エネビル(2/2 ページ)

埼玉県深谷市普済寺にある埼玉工業大学。学園創立110周年の記念事業の一貫として、2016年夏に敷地内に「ものづくり研究センター」が完成した。壁面を総ガラス張にし、木材をふんだんに活用した開放的な空間を目指した他、設備面では自然エネルギーを最大限活用する省エネ型の施設となっているのが特徴だ。設計を担当した平田松田設計に、コンセプトや設計プロセスについて聞いた。

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熱負荷もシミュレーションで解析

 外壁の一部はLow-eペアガラスを利用したダブルスキン構造となっている。ガラスとガラスとの間にできた空間は、季節に応じた換気を行う自然換気システムによってコントロールされる。温熱感知センサーを利用し、ダブルスキンの内部温度が35度以上になると窓が開き、風速10メートル以上の風が吹いた場合や、雨などを検知すると窓が閉まる仕組みだ。建物周囲の地中にはクールヒートチューブが埋設されており、地中熱を空調の熱源として利用できるようにし、空調面でも省エネを図っている。


中央上部の窓がダブルスキン構造となっている 写真提供:日暮雄一

 ダブルスキン内部および建物内部の熱環境のシミュレーションは、建材メーカーの三協立山と協力して行った。熱回路網解析ソフトの「TRNSYS」を利用し、「シミュレーションの結果を基に、ガラス仕様、開口部の必要個数の算出した」(松田平田設計)という。

太陽光+レドックスフロー電池

 埼玉工業大学が研究・開発で力を入れている分野の1つが「レドックスフロー電池」だ。貸与光発電などの再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、出力変動の安定化に寄与するとして注目されている蓄電池の1つである。


設置したレドックスフロー電池(クリックで拡大)

 そこで、モノづくり研究センターには内部にレドックスフロー電池の設置スペースも設けている。外壁の一部に設置した太陽光発電パネルで発電した電力を貯蔵する仕組みになっており、再生可能エネルギーの貯蔵技術の研究開発に役立てる。

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