「RICOH THETA」による360°画像の制作受託、リコーが不動産業界向けに開始:LIFE STYLEと業務提携
リコーは、実写VRの制作・プロモーション支援を行うLIFE STYLEと業務提携し、クラウドサービス「THETA 360.biz」において、360°画像の制作受託サービスを開始すると発表した。
実写VR制作のLIFE STYLEと業務提携
「RICOH THETA(シータ)」を知っているだろうか。リコーが2013年11月に発売したスティック型カメラである。一度の撮影で全方位の写真や動画を撮影できるため、カメラに関心のあるユーザーや、VR(仮想現実)クリエイターを中心に注目を集めている*)。
2014年10月には、RICOH THETAで撮影した画像を顧客のWebサイトに表示するクラウドサービス「THETA 360.biz」を法人向けに開始。現在、数百社が有償プランを活用しているという。リコーは2017年3月28日、このTHETA 360.bizにおいて、360°画像の制作受託サービスを開始すると発表した。
*)RICOH THETA以外にも、「RICOH THETA S」「RICOH THETA SC」などのモデルがある。
同サービスでは、室内の様子などを360°の全天球で撮影し、THETA 360.bizで部屋の間取り図と連携することで、室内を行き来しているような閲覧を可能にする「ツアー」を作成する。完成したツアーの埋め込みコードを用いて、顧客はWebサイトに室内の全天球画像を表示できる仕組みだ。スチール写真の撮影などのオプションもある。
リコー新規事業開発本部 SV事業開発センターで所長を務める大谷渉氏によると、これまで顧客自身が360°画像を撮影し、THETA 360.bizを活用してWebサイトに表示していたが、撮影する位置や照明の調整といったコンテンツの質を確保するのは難しい。
そこでリコーは、実写VRの制作・プロモーション支援を行うLIFE STYLEと業務提携。LIFE STYLEは、Googleの認定代理店の1社として「Googleマップ」のストリートビュー上に、さまざまな屋内の様子を全天球画像で撮影、公開作業を行っている。これまで1万件以上の導入実績があり、200社以上のGoogle提携パートナーに教育研修を実施しているという。同社が、360°画像 制作受託サービスの撮影を担うことになった。
プラン | 料金(税別) | サービスの内容 |
---|---|---|
不動産物件の居住部向け | 3万4800円/1戸 | 360°画像の撮影 ツアー作成(間取り図あり) |
マンションなどの共用部向け | 4万4800円/1棟 | 360°画像の撮影(15箇所まで指定可能) ツアー作成(サムネイル表示のみ) 追加画像:3000円/1箇所 |
不動産物件の居住部向け (スチール写真撮影付き) |
3万9800円/1戸 | 360°画像の撮影 ツアー作成(間取り図あり) スチール写真の撮影と画像の提供 |
マンションなどの共用部向け (スチール写真撮影付き) |
4万9800円/1棟 | 360°画像の撮影(15箇所まで指定可能) ツアー作成(サムネイル表示のみ) スチール写真の撮影と画像の提供 追加画像:3000円/1箇所 |
リコーの資料を基に作成 |
同サービスは不動産業界を対象に展開し、対象業界を今後拡大していく予定だ。360°画像をWebサイト内に設置するメリットについて、大谷氏は「詳しい数字は把握できていないが、コンバージョンレートの向上につながることが顧客からも言われている」と語る。拡大する対象業界の1つには“建築業界”を挙げており、設計図通りに作業が進んでいるか、物件のリノベーション過程の比較などに有効とした。
「ハードウェアの提供だけは、これから生き抜くのが難しい。RICOH THETAをIoTデバイスと位置付け、データをどう活用するか顧客と一緒に考えていきたい。ハードウェアとデータのエコシステムを築くことが、将来的な展望である」(大谷氏)
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