災害状況をリアルに再現? 竹中工務店がBIMデータを活用したVRシステムを開発:BIM/CAD
竹中工務店は、地震や火災など複数の災害予測や避難行動の解析結果を統合し、VR(仮想現実)による事前体験を可能とするシステム「maXim(マキシム)」を発表した。
建物設計や避難計画などの防災に生かす
竹中工務店は2017年3月22日、地震や火災など複数の災害予測や避難行動の解析結果を統合し、VR(仮想現実)による事前体験を可能とするシステム「maXim(マキシム)」を開発したと発表した。建物のBIM(Building Information Modeling)データを活用し、各災害事象の解析結果を3次元モデル内に時間経過に沿って統合化。それをドーム型スクリーンやVRゴーグルなどのデバイスで可視化する。
maXimの語源は、maximum simulatorで“最強のシミュレーター”を意味する。具体的な仕組みとしては、まずBIMから必要なデータを抽出し、災害現象や人の避難行動を解析する。解析の結果や、建物の3次元モデルをmaXimにインポート。情報の補完や最適化を行った後、全てのデータを単一の空間と時系列の中に統合する。次に計画地周辺の都市モデルを追加し、ハザード情報などに基づき災害シナリオを作成している。VRによる可視化は、独自の技術を用いて行ったという。
竹中工務店は、リリース上で「BCP(事業継続計画)などを含む防災計画は重要である認識はあるものの、個別の対策技術は効果が見えにくく、実感しにくい。maXimを適用することにより、それらの対策や個々の技術の効果が見える化でき、建物の防災性能に対する理解と評価が促進され、防災意識の向上に貢献する」とコメントしている。
今後は、自治体や行政のハザードマップのVR化や災害発生時の避難誘導のリアルタイム化など、まちづくりや都市計画における災害対策への応用も検討するとした。
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