設備をオーナの代わりに購入、省エネ改修の障壁を下げる新サービス:省エネビル
東京電力ホールディングスの子会社である東電不動産は、建物オーナー向けに、初期費用を抑えながら建物の設備改修を行えるサービスの提供を開始した。新たに購入する設備費用の一部を東電不動産が代わりに購入し、オーナーは月々の電気料金と維持管理費用と合わせて割賦払いで支払える。オーナーの初期投資を抑え、建物の省エネ改修を支援する。
「所有している建物を設備改修で省エネにしたい。一方で初期投資は抑えたい」ーーこうした悩みを持つオーナー向けに、東京電力ホールディングスの子会社で、建物の管理・運営サービスを提供する東電不動産が新サービスを開始した。
サービス名は「建物の設備改修お助けサービス」。建物の運営・管理、さらに各種設備機器および電力調達を東電不動産に一括で委託すると、オーナー側にさまざまなメリットを提供するサービスだ。
その1つが、設備機器の代金を東電不動産がオーナーに代わって購入するという仕組みだ。改修に当たって導入する設備機器の代金は、東電不動産側が一時的に負担する。オーナーは、予算、設備更新計画に併せて、月々の建物運営管理費と電気料金を併せて割賦払いとすることができる。金利手数料は1〜2%で、支払期間は3〜10年が目安となる。
この場合、電力の調達先は東京電力エナジーパートナーの子会社であるテプコカスタマーサービスからとなる。そして設備改修を行う際には、空調自動制御型のエネルギーマネジメントシステムを無償で設置する。これにより、建物のランニングコスト低減にも寄与する狙いだ。受電設備や空調、照明といった省エネに関する設備改修の他、内装・外造工事、耐震補強工事もサービスの対象となる。
オーナー側にとっては、少ない初期費用で建物を省エネにし、長期的な維持管理コストを削減することが可能になる。東電不動産はまず関東圏の顧客を中心に提案を進め、2017年度からの3年間で200件の受注を目指す方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東京・大手町、地下に広がる冷暖房システムが進化
東京都千代田区のビジネス街、大手町エリアの地域冷暖房システムを支える新たな地下プラントが完成した。大手町・丸の内・有楽町エリアを中心にエネルギー供給システムを運営する丸の内熱供給が運営するプラントで、大手町パークビルや周辺のビルや設備に冷水や温水を供給することができる。水槽を活用したコージェネレーションシステムを導入するなど、エネルギーの高効率化を図ったのが特徴だ。 - 建物の電力需要を予測、深層学習で高精度に
清水建設はAI技術の1つであるディープラーニング(深層学習)を活用し、建物の電力需要を高精度予測するシステムを開発した。電力小売りやESCOなどの電力関連事業の収支改善や施設のエネルギー運用の効率化に役立てる。 - 豊洲にエネルギー供給機能を持つ大型施設、2020年完成
三井不動産は豊洲二丁目駅前地区で推進中の「豊洲二丁目駅前地区第一種市街地再開発事業2‐1街区 AC棟計画」に着手した。オフィスや商業施設、ホテルから成る豊洲エリア最大規模の複合施設が2020年に完成する予定だ。電力と熱を供給する「エネルギーセンター」も併設し、BCP対策も強化する。 - 太陽光を集めてビルの16階から1階へ、蓄電池で停電時にも電力を止めない
東京都心の臨海部に自然エネルギーと蓄電池を活用して電力使用量を削減できる地上16階建てのビルが完成した。屋上に設置した太陽光集光装置からビル内の吹き抜け空間を通して1階まで自然光を取り入れるほか、夜間に蓄電池に貯めた電力を昼間に供給して需要のピークカットを実施する。