一次エネルギー消費量を半減、鴻池組が既設改修で「ZEB Ready」:省エネビル
鴻池組は茨城県つくば市の技術研究所のZEB化改修工事を完了した。執務を続けながら、さまざまな省エネ技術の導入し、一次エネルギー消費量を5割以上削減することに成功。BELS認証で「ZEB Ready」の評価を取得している。
鴻池組は、茨城県つくば市の技術研究所で進めていたZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化改修工事を完了させ、2017年2月から運用を開始した。
同社では、技術研究開発をより一層強化するために技術研究所施設の更新および拡充を進める中で、同建物のZEB化改修プロジェクトに取り組んだ。この改修工事は、「平成28年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」に採択され、国の補助金を活用して実施。既存建物の改修という大きな制約条件のもとで、補助金の要件を満たすZEBの実現や、研究員が執務を続けながら工事を行った。
このZEB化改修により、基準ビルと比較して一次エネルギー消費量を51.7%削減でき、太陽光発電による創エネルギー分を加えると、削減率は59.7%となっているという。また、補助金支給の条件である「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」において、「ZEB Ready」の評価を取得している。
今回のZEB化に当たってのコンセプトは、エネルギーを「減らす」「上手に使う」「創る」の3つ。エネルギーを「減らす」については、後付けLow-Eガラス、後付け二重窓による複層化、日射追従ルーバー、太陽光追尾自動ブラインド、内貼断熱、吹抜けを利用した最適自然換気などの技術を採用し、建物を取り巻く光や熱など外的要因を制御して、エネルギー負荷を削減している。
またエネルギーを「上手に使う」は、快適性を確保しつつ、徹底してエネルギーロスを減らし、効率良くエネルギーを運用している。採用した技術は高効率空調機器、タスク&アンビエント空調、輻射冷暖房、CO2連動全熱交換換気、大温度差変流量制御、空調変風量制御、自動調光型LED照明、タスク&アンビエント照明、超高効率変圧器、BEMSによる最適な統合制御と管理などだ。
エネルギーを「創る」については、再生可能エネルギーを積極的に活用し、使用エネルギーの削減と補完を実施した。採用した技術は太陽光発電、太陽熱の空調熱源利用、クールトレンチなどとなっている。
鴻池組では、同建物を実証モデルとしてデータの蓄積を行うとともに、顧客がZEBを体験しながら見学できる施設としても活用していく方針だ。
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