人工知能が道路の損傷を診断、2017年度実用化へ:情報化施工
NECと福田道路は人工知能技術を活用し、一般的なカメラで撮影した路面映像から道路のヒビ割れの状況などを診断するシステムを開発した。従来の路面の目視点検や専用機器による調査に比べ、安価で効率的に路面の健全度の見える化を実現するという。2017年度中の実用化を目指す方針だ。
道路建設の福田道路(新潟市)とNECは共同で、AI(人工知能)技術を活用し、路面の映像からわだち掘れ(道路走行部分に縦断方向に連続して生じた凸凹)とひび割れを同時に検出する「舗装損傷診断システム」を開発した。
近年、国内の道路の総延長は120万km(キロメートル)を超え、その多くを管理する国・自治体では、職員などによる路面点検の人員確保や高価な専用機器を用いた調査の費用負担などが大きな課題となっている。
同システムは、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」(NECの最先端AI技術群の名称)の1つであるディープラーニング(深層学習)技術を搭載した「NEC Advanced Analytics-RAPID機械学習」を活用。一般的なビデオカメラを取り付けた自動車から撮影した路面の映像を分析することで、路面のわだち掘れとひび割れを同時に検出し、路面状況の劣化レベルの判定を可能にした。
また、路面の撮影と同時に記録したGPSによる位置情報の活用により、地図データ上で路面状況が確認できる。これらにより、従来の路面の目視点検や専用機器による調査に比べ、安価で効率的に路面の健全度の見える化を実現する。
福田道路とNECは、同システムを用いた一般道での実証実験で、専門技術者の目視点検と同等のレベルで路面のわだち掘れとひび割れを同時に検出できることを確認したという。引き続き社会実証を重ね、その実証データを公表する予定で、2017年度を目処に実用化を目指す。
また、両社は今後、同システムを活用した路面の健全度の見える化を推進するとともに、道路の補修計画の策定から補修工事の実施・評価までの一連の工程で、AI技術を活用した最適化を検討していく方針だ。
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