シンガポールの「国土3Dモデル化計画」、都市のビッグデータ解析がもたらす価値:BIM/CAD(3/4 ページ)
国土全体を3Dモデル化し、環境解析や都市計画に活用できるビッグデータ・プラットフォームを構築するーー。そんな大規模なプロジェクトを進めているのがシンガポールだ。「バーチャル・シンガポール」と呼ぶこ壮大な計画の狙いと展望について、来日した同プロジェクトを推進するシンガポール国立研究財団のジョージ・ロー氏に聞いた。
データの詳細度を5段階に設定
バーチャル・シンガポールでは、基礎となるデータベースの部分で、種類や詳細度の異なるさまざまなデータを大量に統合していく必要がある。統合するデータ全てをBIMモデルのような詳細度、容量とするわけにはいかない。
そこでバーチャル・シンガポールでは、BIMモデルのように「LOD(Level of Detail)」を利用し、統合するデータの詳細度を5段階に分けている。ロー氏は「BIMモデルは非常に詳細度が高く価値のあるデータだが、そのまま統合するには重すぎる。実際にはBIMモデルから必要なデータのみを抜き出して統合できるシステムを構築中だ」と述べる。また、こうしたさまざまなデータを統合するベースのシステムには、ダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE City」を採用している。
また、都市というのは当然ながら変化していく。一度作成したバーチャル・シンガポールのデータベースは、どのように更新していくのだろうか。ロー氏は「まず、バーチャル・シンガポールに統合するさまざまなデータの中で、頻繁に更新する必要がある部分と、そうでない部分を分ける作業をす進めている。このプロジェクトにおいては、こうした柔軟なデータアーキテクチャの構築というのが非常にチャレンジングな部分であり、現在も検証を進めている段階だ。そして将来のデータ更新の方法としてはドローンなどの最新技術の活用や、市民がスマートフォンで撮影した画像をアップロードするといった方法を検討している。最終的には『Wikipedia』のように、あらゆる人が参加しながら更新されるシステムになっていくのが理想と考えている」と述べている。
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