BIMとセンサーで進化するビル管理、3D化で既設ビルにも可能性:FM(2/2 ページ)
NTTファシリティーズは「第1回 スマートビルディングEXPO」に出展し、展示ブース内に実際に設置した各種センサーからの情報をBIMデータと統合し、リアルタイムに可視化するデモンストレーションを披露した。
データのない建物を3D化
最近ではこうしたファシリティマネジメント(FM)にBIMデータを活用する動きに注目が集まっている。NTTファシリティーズは2014年に完成した同社の「新大橋ビル」において、竹中工務店、日本アイ・ビー・エムと共同で、設計・施工段階からFMへのBIM活用を目指した入れたプロジェクトを実施するなど、BIMとFMの連携に取り組んでいる。
一方国内では、このように建設時にBIMデータを作成していない、あるいは2Dの図面しか残っていない建物の方が圧倒的に多い。そこでNTTファシリティーズでは、構造計画研究所と共同で、実証的に既設建築物の屋内を3Dデータ化する取り組みも進めているという。
同じく「第1回 スマートビルディングEXPO」に出展した構造計画研究所は、同社ブースでこの3Dデータ化サービスを展示していた。同社が2015年10月から提携しているドイツのNavVis社のサービスを利用した、屋内の3Dデータ化サービスだ。6つのカメラと3つのレーザスキャナを搭載した「M3 Trolly」という装置を作業員が手で押しながら屋内を歩くことで、高解像度パノラマ写真と3D点群データ(形式は3D point Cloud)を作成。これらを統合・処理して、屋内を3Dデータ化する(図4)。
作成した3Dデータは、任意の2点間の距離を計測することもできる。作成した3Dデータをデータベースとし利用し、位置情報サービスを提供することも可能だ。ビーコンなどを取り付けなくても、位置情報を活用したサービスの提供に活用できる。1日で2〜5万平方メートルの計測が可能で、料金は1平方メートル当たり約5円が目安になる。計測したデータは最短で翌日にWebブラウザで閲覧できるかたちで提供できるという。
作成した3Dデータは、任意の地点に動画やPDF、URLなどのさまざまなデータを追加することもできる。必要な情報を付与することで、設備管理などにも活用できる。大塚家具が公開している同社新宿店の内部をWebブラウザ上から閲覧できる「バーチャルショールーム」など、複数の採用実績があり、こうした商業施設の他、工場などからの引き合いも多いという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 人の位置と数が分かるセンサー、ビルの照明・空調制御を高度化
オムロンはビルオートメーション向けの画像型人感センサーを開発した。人の数と位置を検出できるのが特徴で、赤外線センサーより高精度なビルの照明・空調の自動制御に活用できるという。2017年4月から発売する。 - 必要なのは電源だけ、屋外現場の映像監視を簡単・低コストに
日本ユニシスは屋外現場向けの映像監視サービス「スマートユニサイト」の提供を開始した。通信モジュールが一体化したカメラを利用することで、ネットワーク工事不要で電源さえ確保できれば導入できる簡易性が特徴だ。カメラのレンタル費、通信費などを含めて月額1万円から利用できる。 - 施設管理を変える「鍵のクラウド化」、Airbnb採用のスマートロックが日本上陸
構造計画研究所は2017年1月から米LockStateのスマートロックシステムを日本国内で展開する。物理的なカギを使うこと無く、遠隔地から施設や特定エリアの入退室管理や制限が行えるクラウドサービスで、施設管理の効率化に役立つ。米国では民泊サービスの米Airbnbも採用しているという。