日本初のZEH分譲マンション、名古屋市で2019年完成:省エネビル
戸建住宅では徐々に広がりつつある「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」。一次エネルギー消費量がほぼゼロになるこのZEHで、国内初となる分譲マンションが2019年春に名古屋市に完成する予定だ。積水ハウスが建設するもので、
積水ハウスは愛知県名古屋市に「全国初」(同社)となる「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」分譲マンションを建設すると発表した。住宅街の同市千種区内に建設する3階建て12戸規模の邸宅型マンションで、名称は「グランドメゾン」。2017年夏に着工し、2019年春に完成の予定だ(図1)。
パリ協定の発効を受けて日本でもCO2排出量削減の加速が求められる中、家庭部門では2030年までに39%の削減が政府目標となっている。その達成には、先行している戸建住宅でのZEHの推進に続き、戸数規模の大きい分譲マンションでもZEH化が期待されている。だが、省エネ面では建物の断熱や 省エネ設備性能をトップレベルにすることは可能でも、創エネ面では戸数に対して相対的に屋根面積の小さいマンションでは十分な太陽光発電システムの搭載が難しく、エネルギー収支がネットでゼロになるZEH基準の達成は難しいとされてきた。
積水ハウスでは新築戸建のZEHは既に7割を超えるまで普及させた。さらに2020年には8割を目指し自主宣言するなど、積極的な取り組みを見せている。一方、集合住宅は先述のようにZEH化が困難といった理由から国の目標の対象外となっているが、住宅着工戸数の約半数を占め、住宅のCO2排出量の約3割を排出している集合住宅においても、いずれはZEH化の動きが求められる。こうした中で同社は集合住宅でもZEH化を先行する方針だ。
グランドメゾンは、単なる建物としての「集合住宅」ではなく、住人一人一人のライフスタイルを重視し、「住まいが集まったかたちである住宅集合」という考え方を基本としている。今回の計画では、都心に近い利便性や居住環境に優れた住宅街にグランドメゾンのこうした基本思想に加え、国内で初めてZEH基準を達成する快適性を備えた環境配慮型の分譲マンションを目指している。
同物件計画での仕様について、省エネ面ではLED照明などの各種省エネ設備を採用し、また窓のアルミ・樹脂複合サッシにアルゴンガス封入複層ガラスの採用などによって開口部の断熱性能を従来比2倍とし、住戸単位の断熱性能を1.3〜1.6倍まで高める。創エネについては全住戸で、平均4kW(キロワット)の太陽光発電システムと、燃料電池「エネファーム」を搭載する。今回は、3階建てで12戸の邸宅型のため、戸数に対し十分に太陽光発電システムを導入できたかたちだ(図2)。
これによりグランドメゾンでは全住戸でネット・ゼロ・エネルギーを達成する。さらに停電時には太陽光発電システムとエネファームの停電時発電機能(発電継続)による電力供給や、共用部に備える防災備蓄倉庫などの防災対策、エレベーターのフロア制御などの防犯対策により、安全・安心にも配慮した住まいとする計画だ。
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