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機械学習でビルの創エネ・蓄エネを最適制御、ZEBを見据えた新型EMS省エネビル(1/2 ページ)

安藤ハザマは新しいエネルギーマネジメントシステムを開発した。機械学習を利用し、電力需要予測にもとづく最適なエネルギー管理が行えるのが特徴だ。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)で求められる創エネ・蓄エネを含めた高度なエネルギーマネジメントを支援する。

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 安藤ハザマは2016年11月22日、新しいEMS(Energy Management System)「AHSES(Adjusting to Human Smart Energy System)」を開発したと発表した。Mirror Life、サイテック・ジャパン、アバール長崎、ファーストリリーなどと共同開発したもので、機械学習を利用し、電力需要を予測しながら建物の最適なエネルギー管理が行えるシステムだという。

 あらゆる産業でさらなる省エネが求められる中、建設分野については一次エネルギー消費がおおむねゼロになる「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の普及に向けた取り組みが進んでいる。ZEBの実現には建物自体の省エネ性能を高めるだけでなく、太陽光発電など再生可能エネルギーを利用した「創エネ」(発電)、さらにはこうした電力を貯蔵して効率よく利用する「蓄エネ」(蓄電)など、エネルギーに関するさまざまな設備とその最適な運用が求められる。

 一方、再生可能エネルギーは天候によって発電量が大きく左右されてしまう。そのため、発電量や蓄電量、さらに変動する建物の電力需要など考慮しながら最適に建物全体のエネルギーを供給・管理できる高度なEMSが求められる。今回発表したAHSESはこうした用途に向けて開発したものだ。

 AHSESは電力需要を予測し、設備の最適な運転計画を立案するプログラム、太陽光発電システムなどの創エネ設備、蓄電池などの蓄エネ設備、電力変換装置およびエネルギーの運用状況を確認できるモニター画面で構成している(図1)。


図1 AHSESの概要(クリックで拡大)出典:安藤ハザマ

 大きな特徴が機械学習の活用だ。建物の利用状況や気象情報をもとに、機械学習と数理手法を用いて、電力需要予測および最適な運用計画を立案。これにもとづいて発電設備や蓄電設備を最適に制御し、必要な分の電力をアシストする。

 こうした機能により建物に搭載している発電設備を最大限に活用することで、電力需要が集中する時間帯の供給電力量を低く抑えるピークカットも行える。最大需要電力値(デマンド値)が下がれば、電力会社との契約電力を下げることができ、電気料金の削減にも寄与する(図2)。


図2 ピークカットのイメージ(クリックで拡大)出典:安藤ハザマ

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