いまさら聞けないVRの基礎ーー2D/3Dとの関係性:建設×VR(2/4 ページ)
建築土木分野での活用が広がっているVR(バーチャルリアリティ)技術。一方、そもそものVRのやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の仕組み、これらを活用してくいく上での注意点などについては、意外と知られていないのではないだろうか。本稿ではこうしたVRの基礎的な部分について解説する。
同じ問題を抱える3DとVR
先日VRコンテンツの開発者と話していて、驚くようなことがありました。それは、わずか6年前に3Dテレビや3Dディスプレイを普及させるために、あれだけ社会的にも議論された「3Dに関する安全性」についての理解がまったくなかったのです。彼は「VRというのはOculusをきっかけに最近登場したもので、インタラクティブ性が重要で、3D映像とは関係ないと思っている」といっており、3DとVRは関係ないという認識だったのです。あらら、これは大変だ! どこから話してあげたらよいのだろう?
一方で彼は「Oculusは13歳未満は使わないようにといっている」と述べています。つまりHMDの利用について配慮が必要なことは知っているが、それはあくまでもハードウェア側の問題であるという認識だったのです。
それが1人や2人ではなく、特に若いエンジニアやクリエーターで、今までインタラクティブやWeb、CG制作、全周撮影などの分野で活躍しており、その延長でVRの開発に携わっている方々にも多いようです。
本来は、なぜ13歳未満が利用しないように警告しているかということ自体を理解することが重要です。その理由は子どもの成長段階において、3D立体視機能や眼位が安定していないことへの影響を避けるためです。つまり、実はハードの問題だけではなく、そこで再生するプレーヤーソフトやコンテンツにも大きな責任があるということを理解しながら開発や制作を行う必要があるのです。こうした安全性の部分が、単に機器側の決まりごととしてだけ受け入れられていることに少々不安を感じました。
ちなみに、3D CGや全周撮影を専門としている方でも3D映像に関する知識が十分にあるとは限りません。通常3D CGや全周撮影で制作するのは2D映像です。3D映画のように立体視に対応した映像を制作するためには、両眼視差を用いた立体視に関する知識が必要となります。
私は彼に2010年に公開された、3Dコンソーシアムなどが公開した3Dテレビや3Dディスプレイに関するガイドラインである「人に優しい3D普及のための3DC安全ガイドライン」があるので、それを見て参考にしたらどうかと勧めました。そもそもVRが両眼で見る立体視であること自体を理解してもらう必要があることに驚くとともに、これほど関連する分野でもわずか6年前のことが受け継がれていないことに驚きを隠せませんでした。
ちなみにHMDの場合はディスプレイの位置がテレビなどのパネルに比べて極めて近距離にあり、さらにレンズを使用している(視野角が広い)、頭や体に合わせて動く、という違いもあるので、それを理解した上で参考にする必要がありますが、両眼立体視という基本は、3DテレビもHMDも共通です。
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