ニュース
席ごとに「見えやすさ」を数値化、劇場などの座席設計に役立つ解析手法:BIM/CAD(2/2 ページ)
劇場や音楽ホールに行った時、座席ごとの「見え方」が気になったことはないだろうか。大成建設はBIMデータを活用し、こうした座席ごとの見え方を数値指標として可視化するシミュレーション手法を開発した。最適な座席計画に役立つ手法として、自社案件での活用を進める計画だ。
BIMデータを使って30分で解析
このシミュレーション手法において、ベースとなるのは劇場のBIMデータだ。BIMデータをシミュレーションモデルとして活用することで、数千人規模の大ホールであっても、可視率の解析から可視化までの表示を、1ケース約30分で完了できるという。短時間で解析・評価を行えるようにすることで、入念な座席計画の検討を行えるようにした(図2)。
座席や手すりなどによる影響だけでなく、前列観客の体や頭などによる視線の遮蔽も考慮することができ、イベント別の座席配置や観客の特性に対応した舞台の見通しを確認できる。全ての座席から舞台を見たパースを作成することなく、全席の可視率の解析結果は色分けされて可視化できるようになっている。このように見えやすさやビジュアルとして把握できるため、顧客と設計者の情報共有にも有効だという。
今後大成建設ではこの可視率を用いたシミュレーション手法を、劇場や音楽ホールに加え、大会議場や会議室などの集会施設、競技場や体育館などのスポーツ施設の設計にも活用していく計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- IFCデータの入出力を可能に、BIM対応を強化した建設設備CAD
富士通システムズ・ウエストと四電工は、建築設備CAD「CADEWA」シリーズの新バージョンを発売する。IFCデータの入出力や3D関連の機能など、BIMに対応するための機能を強化した。 - 点群データをBIMへ、連携機能を強化し形状やパラメータを活用可能に
エリジオンは、3次元点群データ処理ソフトの新バージョンをリリースした。点群からのCADモデル化機能とデータ出力機能を拡張し、各種BIMソフトウェアとの連携強化を実現したことが特徴だ。 - 都市の環境価値を可視化する、日本設計のCFD活用
「Autodesk University Japan 2016」で日本設計 執行役員フェローの篠崎淳氏が同社の都市設計におけるBIMおよびCFDの活用事例を紹介した。環境の日本設計として知られる同社だが、最近ではCFDを都市全体に適用し、その結果を建築設計に活用しているという。