光ファイバーとケーブルを一体化、PC張力を任意地点で計測可能に:情報化施工(1/2 ページ)
鹿島建設は住友電工スチールワイヤー、ヒエン電工と共同で、プレストレストコンクリート(PC)に使用するPCケーブルの張力を高精度に計測できる技術を開発した。光ファイバーを用いたひずみ計測技術を応用したもので、PCケーブルの張力を任意の位地で直接計測できるようにした。
鹿島建設(以下、鹿島)は2016年10月27日、住友電工スチールワイヤー、ヒエン電工と共同で、プレストレストコンクリート(PC)に使用するPCケーブルの張力を高精度に計測できる技術を開発したと発表した。光ファイバーを利用するひずみ計測技術を応用したもので、PCケーブルの張力を任意の位地で直接計測できるようにした。さまざまな構造物の品質向上に役立てる狙いだ。
PC構造物の品質や耐久性を確保するためには、施工時に所定の張力をPCケーブルに確実に導入し、さらに供用中も必要な導入張力を維持することが重要となる。従来、施工時に張力を計測するには、油圧ポンプの圧力値とPCケーブルの伸びから張力を推定する手法しかなく、定着後にPCケーブルの全長にわたって導入張力を計測する手段は確立されていないという課題があった。
そこで3社は20年以上の実績がある光ファイバーによるひずみ計測技術に着目した。PCケーブルの製造工場で光ファイバーをあらかじめPCケーブルの全長にわたって組み込み、一体化する方法を考案。PCケーブルの張力を任意の位置で直接計測できる技術を開発した(図1)。
この手法では光ファイバーと一体化したPCケーブルを緊張した際、光ファイバーに生じるひずみを計測することで、張力の分布を評価する仕組みだ。3社は今回、PCケーブルに光ファイバーを直接組込むタイプ(裸線型)と、内部充てん型エポキシ樹脂被覆PCケーブルの被覆内に光ファイバーを埋設するタイプ(ECF型)の2種類を開発し、実査の橋梁に適用した(図2)。
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