タブレット端末で効率化、施工検査の時間を40%削減:情報化施工
富士通はビルなどの施工現場における検査業務を支援する業務パッケージソフト「現場検査マイスター」を坂田建設に導入した。従来紙ベースで行われていた検査データの記入を、タブレット端末を活用して行えるようにするシステムで、坂田建設では検査作業の時間を最大40%削減する狙い。
富士通は2016年10月26日、富士通システムズ・イーストが開発した、建設現場の検査業務の精度向上や作業負荷軽減に貢献するパッケージソフト「FUJITSU Manufacturing Industry Solution 現場検査マイスター」(以下、現場検査マイスター)を、坂田建設に納入したと発表した。坂田建設は試用期間を経て、同日より配筋検査と仕上検査(竣工検査)において現場検査マイスターの運用を開始した。
施工現場では基礎から竣工にわたるあらゆる工程で、法律に基づいた検査をおこなっている。一方、施工検査の工程は多岐にわたり、工程ごとに検査内容や検査手法も異なるため、検査精度の向上や作業負荷の軽減を行いにくい。さらに紙ベースでの検査の場合は、適切なデータ保管や施工関係者間での円滑な情報共有も難しいという課題があった。
現場検査マイスターは富士通システムズ・イーストが開発したパッケージソフトで、タブレット端末を活用する。ビルやマンションなどの配筋、仕上などの施工検査において、図面や仕様書などの施工検査に必要なデータの参照や検査結果の入力をタブレット端末で行う仕組みだ(図1)。
画面上に表示される検査箇所や検査項目に従って作業ができるため、検査の漏れを防ぎやすくなる。また、検査箇所を撮影した写真データは、検査場所と検査工程を記載した黒板が貼り付けられた形で自動登録される。登録後の変更を不可とすることで、現場の検査証憑としても利用できる。PC上から入力したデータにひも付いた報告書を自動作成することも可能だ(図2)。
建設現場で入力したデータや撮影写真は、施工関係者で共有できる機能も備える。現場全体の施工検査の状況をリアルタイムに複数の関係者で把握でき、入力データの精査や作業の遅れに対する指示など、対策も立てやすくなるとしている。
坂田建設では現場検査マイスターの導入により、検査精度の向上を図るとともに、検査用のデータ準備から現場検査、検査報告までの一連の作業時間を最大40%削減すること目指す。さらに今後は他の検査工程や、土木現場などにも広く適用していく方針だ。
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