iPadを活用した内装仕上げ検査、入力工数を3割削減:情報化施工
戸田建設はiPad用内装仕上げ検査システムの新板を開発したと発表した。YSLソリューションと共同開発した建築現場向けの内装仕上げ検査システムで、従来より検査項目の入力スピードと操作性を大幅に向上させた。検査作業を行う現場作業員の負担軽減に貢献する狙いだ。
戸田建設は2016年10月6日、YSLソリューション(以下、YSL)と共同で、iPad用内装仕上げ検査システム「LAXSY(ラクシー)」を開発したと発表した。建築現場における内装仕上げ検査向けのシステムで、従来システムより検査項目の入力スピードと操作性を大幅に向上させたとしている。
大手建設を中心に、検査作業におけるタブレット端末の活用が進んでいる。一方、建築工事における内装仕上げ検査については、壁、天井、床などの部位や指摘内容、是正する協力会社名など、多くの情報を入力する必要がある。こうした複数情報の入力作業が現場作業員の負担となっていた。
こうした背景から戸田建設とYSLソリューションが開発したLAXSYでは、検査部位や指摘内容を一括入力する画面構成とし、従来システムと比べて必要なクリック数を約30%低減させた。加えて頻繁に使う指摘内容を事前登録できる「プリセット機能」や、同じ内容の項目を再度入力する手間を省く「履歴機能」を搭載し、検査項目の入力スピードと操作性を大きく向上させている(図1)。
同システムは戸田建設が過去の建築工事で培ったデータを活用した建物用途別の指摘内容マスターも搭載している。これにより、マンションなど内装仕上げ検査が頻繁に行われる建物に加え、事務所や工場、病院など他の用途の建物についても、簡易に検査項目を入力できるという。
同社では今後LAXSYを建物用途に関係なくさまざまな作業所へ展開し、業務の効率化、生産性向上を図る計画だ。また、同システムはYSLソリューションが外販を行う。
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