国内ビル管理市場は堅調推移、競争領域は価格から品質・付加価値へ:FM(2/2 ページ)
矢野経済研究所は国内ビル管理市場の調査結果を発表した。2015年度の市場規模は前年度比2.7%増の3兆8759億円で今後も堅調に推移する見通しだ。一方、ビル管理業務に対する品質向上の要求は今後も続くとし、事業者側は付加価値の向上に取り組んでいく必要があるとした。
今後求められる企業姿勢とは
2016年度のビル管理市場規模(元請金額ベース)は、前年度比で3.0%増の3兆8759億円と予測している。2016年度も引き続き管理業務品質の維持向上が求められ、業務品質に対する信頼感が大きい大手ビル管理事業者への寡占化傾向が進行するとした。高品質の業務提案が定着し、価格競争に陥らない付加価値のあるビル管理業務が求められていることから、今後の市場規模は微増傾向での推移となる見通しである(図2)。
2015年度から好調な需要領域(宿泊施設の管理業務、リニューアルなどの建物修繕)の拡大がさらに進むものとみられ、ビル管理事業者は各社とも同領域への取り組み姿勢を強めている。これは業務効率化はもちろんのこと、業務品質を高めていくことでビル管理事業の立ち位置を明確にすることも目的としている。
具体的には、新築時からの建物維持管理、稼働中のビル管理運営、修繕や改修に対するビル管理事業者の取り組み姿勢への認知の向上と実際の業務の受注獲得、その後の設備状況やビルのエネルギー管理、省エネや環境への効果・結果の情報発信、次世代のビル開発に対する提言まで、ビル管理事業が持つ一連の流れのすべてにおいてステップアップし、付加価値を創造し提供していく企業姿勢が求められている状況にあるとした。
なお、調査は2016年6〜9月に実施。ビル管理事業者を対象に、専門研究員による直接取材および電話アンケート調査、文献調査を併用して行った。
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