位置情報とカメラ映像が連動、現場管理を低コストに実現:情報化施工
凸版印刷は現場作業員の氏名や位置などの識別情報と、カメラ映像を使った作業者管理システム「BLE/NVR監視サービス」を開発した。センサーで自動取得した位置情報と監視カメラの映像を組み合わせ、誰が何時にどこにいたのかをリアルタイムに管理できる。従来型のシステムより導入コストを50%抑えられるメリットもあるとしている。
凸版印刷は、作業員の氏名や位置などの識別情報とカメラ映像を連動させた作業者管理システム「BLE/NVR監視サービス」を開発した。建設現場などの屋外向けに低コストで構築できる作業者管理システムとして、2016年9月から評価版の提供を開始し、2017年3月から本格的に販売する計画だ。
建設現場では安全性やセキュリティの観点から、作業者の厳格な現場入退管理が求められている。しかし監視カメラの映像だけでは作業者の特定や位置確認などまでは行いにくく、作業者にICカードなどをかざしてもらう入退室管理システムは現場の負荷になるなど、複数の課題があった。今回開発したBLE/NVR監視サービスはこうした現場管理の課題に向けたものだ。
同サービスはBluetooth Low Energy(BLE)に関する技術を持つPinmicro社と、ネットワークカメラの映像をIPネットワーク経由で録画するNetwork Video Recorder(NVR)の技術を持つNEXPOINT社と共同開発した。作業員の氏名や位置などをBLEセンサーで検知し、その情報を監視映像と連動させることで、作業者の位置情報を高精度に取得、管理できる。
例えば建設現場に適用する場合、監視カメラにBLEセンサーを組み込んだ装置を設置し、作業者にはID証として、カード型のBLE端末を付与する。作業者が近づくとセンサーが自動的に検知し、誰が何時にどこにいたのかが記録される。この情報はタブレット端末やPC上からリアルタイムに確認できる。さらにネットワーク監視カメラと連動し、監視カメラの映像にセンサーが読み取った作業者の情報を同時に表示させることで、人物特定や確認も簡単に行えるとする(図1)。
従来のICカードによる管理システムと異なり、作業者はICカードリーダーにカードを読み取らせるなどの動作が必要ない。従来のアクティブタグやWi-Fiを利用した管理システムと比較し、ハードウェアやシステム導入のコストを約50%削減できるメリットもあるとしている。
サービスの予定価格は、初期導入費用が20万円から。ハードレンタル費用は月額3万円、サービス利用料は1件につき月額250円からとしている。設置するセンサーの数や、対象人数などによって価格は変動する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 現場の心と体の疲労を「見える化」、労働災害を未然防止
建設作業現場における作業員の健康管理の重要性が高まっている。しかし、こうした健康管理は朝の朝礼や自己申告で確認を行うのが一般的で、客観的な評価を行いにくい。こうした課題に向けて、安藤ハザマとTAOS研究所は建設作業員の生態データなどから身体的・精神的疲労をリアルタイムに評価できるシステム「バイタルアイ」を開発した。労働災害の未然防止に役立てる。 - 「着る」生体センサー、現場作業者の安全管理に活用
現場作業者の健康・安全管理の効率化に向け、ウェアラブル端末を活用するサービスが続々と登場している。東レは着用型の生体センサーを利用した「hitoe 作業者みまもりサービス」の提供を開始した。遠隔地からリアルタイムに作業者の心拍数や心理的安定度、転倒の有無などを確認できるサービスだ。 - 真夏の作業現場を襲う熱中症、ウェアラブル端末で防ぐ
真夏に行う電力設備の設置や点検保守作業では、熱中症に気をつけたい。富士通と関電工は現場作業員の熱中症対策にウェアラブル端末を活用する実証実験を開始する。アームバンド型の端末を各作業員が装着し、熱ストレスなどを遠隔地でも把握できるようにして熱中症などの防止に役立てる。