地震火災を防ぐ「感震ブレーカー」、埼玉県川口市に280台を設置:省エネビル
住友商事と埼玉県川口市は防災に関するモデル事業に合意し、同市内に280台の「感震ブレーカー」を設置すると発表した。政府は地震の二次災害として懸念されるを防ぐため、想定値以上の揺れを感知した際に自動で電力供給を遮断する感震ブレーカーの普及を目指している。しかし現時点での普及率は数%にとどまっている状況だ。
住友商事と埼玉県川口市は、このほど防災に関するモデル事業の実施に合意した。今後、2016年内にも川口市内の特定エリアが選定され、約280台の簡易型感震ブレーカーが設置される。
阪神淡路大震災や東日本大震災で発生した火災の約6割は、電気機器が出火元の電気火災といわれている。感震ブレーカーは、その電気火災を防ぐために、想定値以上の揺れを感知した際に、電気の供給を自動的に遮断する器具だ。現時点での全国普及率は数%だが、今後30年以内に震度6弱以上の揺れが高確率で発生するとされる中、内閣府を中心に感震ブレーカーの普及を目指している。
川口市では、30年以内に70%の確率で発生するといわれている東京湾北部地震を危惧する声が市民の間でも年々高まっており、同時に感震ブレーカーへの関心も高まりつつある。こうしたことから、川口市では一定の地域においてモデル事業を実施し、そこから得たアンケート調査結果などを分析。その結果をもとに地域の特性に応じた効率的な感震ブレーカーの普及促進策を検討するなど、同事業を通じて、安全・安心なまちづくりに取り組む方針だ。
今回導入を予定している簡易型感震ブレーカーは、住友商事とガスマイコンメーター向け感震器で国内トップシェアの生方製作所が開発した製品。電気工事が不要であり、各家庭にて容易に取り付けが可能な一方、正確に地震波を検知し、遮断までに3分間の猶予期間(避難時間)を設定するなどの特徴を持つ(図1)。
住友商事は地震大国である日本で、生方製作所の簡易型感震ブレーカーの有用性を広く訴求し、普及促進を通じて電気火災を未然に防ぐことに貢献することを目指すとしている。
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