ドローン画像から3次元測量データを作成、アップロードするだけ:情報化施工
現場の測量などにドローンを活用する事例が増えてきた。国際航業はこうしたドローンで撮影した画像を、アップロードするだけで3次元測量データを作成できるクラウドシステムの運用を開始した。
日本アジアグループ傘下で航空写真測量などを行う国際航業は、ドローン(無人航空機、UAV=Unmanned Aerial Vehicle)などで撮影した画像から3次元測量データが作成できる3次元空間解析クラウドシステム「KKC-3D」の運用を開始した。これまで3次元測量データの作成には高度な専門知識を要することや、解析ソフトが高価なことが課題だったが、こうしたコストの削減に貢献する。
同システムではドローンから撮影した画像をクラウド上にアップロードすることで、簡単かつ短時間で3次元測量データを受け取ることができる。さらに各分野で定められている基準類に適合したデータが得られ、国が進める「i-Construction」への対応も可能にした。
KKC-3Dは専門知識や初期投資(専用ソフト・処理PC)が不要で、インターネットにつながる環境があれば利用でき、短時間(既存のものに比べ約3分の2、同社調べ)で3次元測量データを作成するとしている(図1)。
KKC-3Dの利用には国際航業の「ドローン(UAV)運航・3次元計測スクール」を修了していることが利用条件で、利用金額はユーザーごとの月額5000円(最低利用期間6カ月以上)の会費が必要。この料金には利用するデータを1カ月間保管するためのストレージ費用が含まれ、ヘルプデスクの利用も可能となる。このほか、データ変換ごとの利用料は1回当たり15万円となっており、i-Construction対応を含むプランで、1ヘクタール程度が目安。処理範囲が広い場合は、別途費用が必要だ。
高い位置精度を持った3次元測量データの作成には航空写真測量の知識が必要となる。そのため、国際航業はKKC-3Dの利用条件にもなっている3次元測量データ作成の基礎知識を教習するドローン(UAV)運航・3次元計測スクールを2016年5月30日に開講している。修了生は今年度中に200人を超える見込みだ。国際航業では同システムの運用によりスクール修了生の技術力および生産性の向上をバックアップし、測量に関わる事業者の活躍の場をさらに広げることを目指している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ドローンでレーザー測量、鹿島建設が実戦投入
さまざまな測量シーンでの活用が進み始めているドローン。鹿島建設は大分県のダム建設現場でドローンを用いたレーザー測量を実施し、良好な測量結果を得たと発表した。これまでの写真測量より高精度なデータを得られたとしており、より高度な使用方法も探っていく。 - 東京ドーム19個分の土量測量を3分の1の工期で、産業用ドローン活用
エアロセンスが岩手県南三陸町の震災復興作業現場に産業用ドローンを投入。従来工法比3分の1という短期間での造成図作成と土量測定を完了したと発表した。 - ドローンを使ってメガソーラーの造成地を測量、コストを4分の1に
メガソーラーの設置には造成土地の測量が欠かせない。しかし、さまざまな測量機器を使ったとしても、多くの日数が必要だった。それをドローンを使って大幅に削減しようという取り組みが栃木県那須塩原市で実施された。