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「すごい目」のロボットで橋梁点検を効率化、0.1mmの亀裂も捉えるFM(2/2 ページ)

NEDOプロジェクトで橋梁点検ロボットの開発を進めているイクシスリサーチは、神奈川県川崎市内にある道路橋で、実証試験の様子を公開した。主桁下フランジにつり下げるロボットで、ステレオカメラを使ってクラックや鋼材の腐食などを高精度に確認できる。目視で行われている橋梁点検作業の効率化に貢献するロボットとして早期の実用化を目指す方針だ。

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0.1mm幅のクラックを自動認識

 このロボットの最も大きなポイントといえるのがステレオカメラの採用だ。2つのレンズを備えるステレオカメラによって、単に撮影するだけでなく、距離の測定も行える。こうしたステレオカメラの機能と画像処理技術によって、撮影した画像から床版に生じているクラックや、鋼材の劣化部分などの大きさを計測できる(図4)。クラックであれば0.1ミリメートル(mm)幅までを自動認識できる機能を備えるという。


図4 撮影画像から任意のポイントの寸法計測も行える(クリックで拡大)

 この他に、床版を撮影した複数の画像をパノラマ合成して保存する機能も開発した。撮影した画像には撮影座標、撮影方向などの情報も付与されている。保存した画像データと、橋梁の図面データを統合管理できる機能も開発しており、橋梁の各部分がどういった状態なのかを、図面とともに確認できる。こうして画像データで保存することにより、橋梁の状態を複数人で客観的に評価できるメリットも大きいという。

 橋梁の点検作業などは、実施した後に国土交通省が指定するフォーマットに従って報告書を提出する。これまでは作業現場で野帳などにメモした近接目視による記録を、後日にまとめなおして提出するという作業フローであり、一定の作業時間が必要だった。イクサスリサーチではこうした事務作業の手間を省力化できるよう、ロボットで撮影した画像データや記録を、国土交通省の指定フォーマットに流し込める機能も開発している(図5)。


図5 画像データや記録を国土交通省の指定フォーマットに流し込める(クリックで拡大)

一体どれくらいの省力化につながるのか?

 このロボットは操縦作業者、データの確認作業者、周辺の安全確認担当の3人で運用する。設置と撤去にかかる時間はそれぞれ15分程度で、1日に6〜7時間稼働させることを想定しているという。現時点での性能では、点検作業そのものの時間は人手の目視作業と同等程度とする。しかし、その後の報告書の作成時間を大幅に短縮できることを考慮すると、点検作業全体のコストは大幅に削減できるとしている。

 イクサスリサーチはNEDOプロジェクトにおいて、2014年度からの4カ年計画でこのロボットの開発を進めている。既に実際の現場で50回程度の実証試験を行ってきたという。ロボットの販売時期や価格などは現時点で未定だが、同社では残る約1年半の間でさらに実証を積み重ねてロボットの性能向上を図り、実用化のめどを立てる計画だ。

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