建築物の省エネ評価で最高評価を取得した自走式駐車場、星5つを獲得:省エネビル
IHI運搬機械が施工した自走式駐車場が、駐車場として初の建築物省エネルギー性能表示制度の最高評価を取得した。
地球温暖化対策として国際的な世論が高まる中、日本でも政府によるCO2削減につながる省エネへの取り組み強化の動きが広がりを見せている。CO2削減に向けて大きな課題となっているのが、ビルなどの建築物やオフィスの電力などを示す「業務その他部門」である。こうした「業務その他部門」の使用電力量削減を実現するための政策の1つとして生まれたのが「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS:Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)」である(図1)。
BELSは、国土交通省から示された「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン」に基づき、第三者機関が非住宅建築物を対象とした省エネルギー性能などに関する評価・表示を行う5段階のラベリング制度である。2014年4月に創設された。建築物の省エネルギー性能の適切な情報提供や、非住宅建築物に関係する省エネルギー性能の一層の向上を促進する役割が期待されているという。また、同制度を取得することで各企業における省エネルギーを通じた社会貢献へのアピール、テナントのビルへの営業ツールなどにも活用することが想定できる(関連記事)。
今回は、IHI運搬機械(東京都中央区)が施工した自走式駐車場が、LED照明の採用などにより駐車場としては初めて、BELSの最高ランクである「星5つ」ランクの評価を取得した(図2)。
BELSの最高評価を取得した「NPC 24H立川緑町第2パーキング」は、日本パーキング(東京都千代田区)が所有する自走式駐車場。2015年1月に着工し同年8月に完成した。鉄骨造5階建てで、敷地面積が約3000平方メートル。延床面積は約1万1300平方メートル。パーキング内の照明を全てLED照明とすることで消費電力の低減に取り組み、BEI(Building Energy Index/設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除した値)が0.22という値を算出し、最高ランク「星5つ」の評価を取得することとなった。
IHI運搬機械は、1973年に設立されたIHIグループの運搬機械の総合メーカー。パーキングシステムおよび運搬機械の開発・設計・販売・製造・据付・メンテナンス・改修などの事業を展開し、業界トップシェアを維持しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本初の全住戸BELS認証を取得した省エネマンション、最大で27%電力削減
不動産開発および販売を行う大京は、日本で初めて集合住宅として全住戸がBELSによる第三者認証を取得し省エネ性能が優れるとの評価を受けたマンションを建設し販売を開始する。 - ビルや住宅は省エネ性能で選ぶ時代に、4月1日から新しい法制度が始まる
ビルや住宅を対象にした「建築物省エネ法」が2016年4月1日に施行される。建築物のエネルギー消費量が基準に適合するように義務化の範囲を拡大する。さらに基準に適合していることをラベルやマークで表示する制度も拡充して、企業や家庭に省エネ型の建築物を普及させる狙いだ。 - 省エネ評価で5つ星の第1号、年間のエネルギー消費量は標準値の14%
国土交通省が2014年4月から開始した建築物の省エネルギー表示制度で初めて最高ランクの5つ星のビルが決まった。大成建設が5月に横浜市で完成させた「ZEB実証棟」で、年間のエネルギー消費量は標準的なビルと比べて14%に低減すると評価された。 - 国際認証制度で日本初の最高評価、エネルギーを60%削減するYKKの新本社ビル
YKKグループの新本社ビル「YKK80ビル」(東京都千代田区)が、米国グリーンビルディング協会が実施する建築物の環境性能評価制度であるLEED認証で、最高ランクのプラチナ認証を獲得した。オフィスビルとしてLEEDのプラチナ認証を獲得するのは日本初の事例だ。同ビルは一般的なオフィスビルと比較してエネルギー消費量を60%抑えることを目指した戦略的な省エネビルだ。 - エネルギー消費ゼロのビル、実現に向けた実証事業20件が決定
地球温暖化対策による国際世論が高まる中、政府がCO2排出量削減の1つのポイントとして挙げているのが「ビルの省エネ化」である。この中で注目を集めているのがエネルギーを消費しないビル「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」だ。まだまだ技術的なハードルは高いが、平成28年度の実証事業の交付決定事業者20社が決定した。