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ビルの免震改修に新工法、設備の更新と合わせて省エネ・省スペースも:省エネビル(2/2 ページ)
竹中工務店はビルの設備機械室がある階を免震改修する工法を新たに開発した。設備機械の更新を同時に実施しながら、空きスペースを作って免震工事を段階的に進める。北海道庁を耐震改修する事業で初めて採用したところ、ライフサイクルコストを30%削減でき、省エネと省スペースも実現した。
柱1本ごとに免震装置を挿入していく
北海道庁の本庁舎ではデュアルローリング工法で設備更新を同時に実施した結果、設備機械の設置スペース全体を縮小できて、地下2階の倉庫/執務スペースが700平方メートルも広がった。合わせて地下1階にあった倉庫/執務スペースを地下2階に移して、代わりに自然光が入る多目的スペースを設けることができた(図3)。
竹中工務店は免震工事にも、独自に開発した「免震装置プレロード工法」を採用した。建物の中間階を免震改修する場合には、すべての柱を切断して免震装置を挿入する「一斉ジャッキダウン工法」が一般的である(図4)。
これに対して免震装置プレロード工法では、建物の柱1本ごとに免震装置を設置することが可能になる(図5)。工事の対象階を全面的に閉鎖する必要はなく、利用可能な状態を維持しながら免震改修工事を完了できる。
デュアルローリング工法を実施するうえでも免震装置プレロード工法は有効である。竹中工務店は公共施設やオフィスビルのBCP(事業継続計画)を強化できる点を訴求して、デュアルローリング工法を広めていく方針だ。
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