照明で動くビーコン、施設内の位置情報サービス活用を手軽に:FM
施設に位置情報を活用したサービスを導入する際に有効なビーコン。しかし電池の交換や電源の確保などの手間はなるべく抑えたい。こうしたニーズを見込み、大日本印刷は電池の交換や充電が不要な「DNPソーラー電池式Bluetoothビーコン」を開発した。
大日本印刷(DNP)は低照度の人工照明の光でも動作できる「DNPソーラー電池式Bluetoothビーコン」をこのほど発売した(図1)。同社が2016年秋をめどに開始予定の、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)を活用した位置情報サービスの提供に向けた取り組みの第1弾製品となる。今後流通や小売り、空港や鉄道などの屋内施設を持つ企業向けに販売するとともに、関連デバイスやバックエンドシステムの開発を進めていく方針だ。
近年、施設内において人の位置情報を活用したサービスを導入する事例が増えてきた。同時に商業施設や空港、駅構内などの複雑な構造の屋内施設でGPSやWi-Fiよりも動作が安定しており、スマートフォンに向けて手軽に施設案内やクーポン配信などができる仕組みとして、ビーコンを利用するケースが増えている。しかしビーコンの多くは電池やAC電源が必要であり、設置後の電池交換や電気工事の作業負荷や費用が掛かるといった課題があった。
DNPはこれまで空港や駅構内などでビーコンを利用したクーポン配信や屋内ナビゲーションなどの実証実験を行ってきた実績がある。こうした経験をもとに今回、これらの課題の解決を目指して、低照度の人工照明でも安定的に稼働し、メンテナンスなどの作業負荷を軽減する同製品の販売を開始したもの。
同製品はデパートの一般陳列棚におけるJIS照度基準を参考として、照度1000ルクスで安定的に100ミリ秒(1秒間に10回)の信号発信ができる。屋内人工照明の光(200〜1000ルクス)で動作し、低照度下での安定性は、同タイプのビーコンと比較してトップクラスという。
iBeacon、Eddystone-UID、Eddystone-URLの3種類のビーコン規格に対応しており、いずれかに設定できる。OSはiOSやAndroidなど、スマートフォンのOSを選ばない。ビーコン設置後の設定変更作業の負荷を軽減するため、スマートフォンアプリから無線で動作設定を変更できる機能を搭載している。外形寸法は63×115×12ミリメートル。重量約65グラム。参考価格は1台当たり税別1万5000円で、ロットによって個別に見積もる。なお、同端末は、羽田空港第1ターミナルで日本航空が提供する「国内線保安検査場待ち時間ご案内サービス」のスマートフォンアプリ向けに先行導入されている。
DNPは流通・小売、外食、アミューズメント、空港、鉄道、高速道路など、屋内施設をもつ企業に向けて同製品を販売し、ビーコンを活用した位置情報サービスおよび関連業務(アプリ開発、サーバ提供、運営など)を含めて3年間で6億円の売上高を目指す方針だ。
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