CO2を25%削減する新型コンクリート、価格と耐久性もばっちり:省エネ機器(2/2 ページ)
あらゆる建物に利用されるコンクリート。鹿島建設は従来より製造時におけるCO2排出量を25%削減した新型コンクリートを開発した。耐久性やコスト面でも一般的なコンクリートと同水準を保っており、建物の建設時におけるCO2排出量の削減に貢献できるという。
最大40%のCO2排出量削減も
新製品はコンクリートの主原料として一般的な普通ポルトランドセメントの一部を、高炉スラグ微粉末(高炉で銑鉄を作る際に発生する副産物)と、膨張材と共通の成分を含む新しいカルシウム系混和材に置き換えることにより、一般的なコンクリートに比べコンクリート製造時に排出されるCO2量を25%程度削減する。
住宅を除く一般的なRC建物は地上躯体・地下躯体の割合が7対3程度だが、これを基に試算すると、地上に新製品、地下に高炉セメントC種を使ったECMコンクリートを適用することで、建物本体におけるCO2削減率としては最高レベルといえる40%程度を実現する(図2)。
また、日本建築総合試験所の性能証明を取得しており、JISに適合している。加えて、高いひび割れ抵抗性や耐久性が証明されているなど、高品質を実現しながら、適用部位を選ばない汎用性がある。都内の生コン工場からの出荷体制も既に確立しており、コストは同一設計基準強度において、一般的なコンクリートと同等のレベルを実現した。
鹿島建設は東京都内に建設中のKTビル(CFT造)で、床スラブ全面に新製品を適用した。この工事では、鹿島建設が2014年に開発した「KKCコンクリート」もCFT充填に併用しており、その結果これまで有効なCO2削減手段がなかった地上躯体で、一般的なコンクリートよりもCO2排出量を30%削減できたという。また、コンクリート施工後半年以上を経ても床スラブにはひび割れは確認できず、床スラブの実測データをみても、同コンクリートの高いひび割れ抵抗性が実証され、高い品質が確認できたとしている(図3)。
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