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ゼロ・エネルギー・ビルを全国へ、総額40億円で補助金エネルギー管理(2/2 ページ)

2030年までに新築のビルの平均で「ゼロ・エネルギー」を実現する目標に向けて、政府は2016年度の補助金の公募を開始した。ビル全体のエネルギー消費量を基準値から50%以上削減することを条件に、全国8つの地域に分けて新築・既築・増改築の建築物から補助金の交付先を選ぶ。

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技術・経済面の優位性も評価して選ぶ

 2016年度のZEBの補助金は交付先を全国に分散させるため、8つの地域区分ごとに対象の建築物を選定することになった。事務所やホテルなど7つの用途に分けた建築物それぞれで各地域から交付先を選ぶ方法である(図4)。


図4 2016年度の補助金の対象になる建築物(画像をクリックすると拡大)。出典:環境共創イニシアチブ

 8つの地域区分は国の省エネルギー基準の中で気候をもとに規定したものだ。北海道から沖縄まで市町村単位で地域区分が決まっている(図5)。この地域区分と建築物の用途によって外皮(壁や窓など)の性能基準が決められていて、基準を満たさなければ補助金を受けることはできない。


図5 省エネルギー基準による地域区分。出典:日本板硝子

 補助金の交付先は応募案件ごとにZEBの達成度などを審査して、総合点の高い案件から選んでいく(図6)。将来に向けてZEBを拡大するモデルケースになるように、技術面と経済面の優位性も評価する。技術面ではBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を導入することが条件になっている。


図6 補助金の交付先を決める審査項目。出典:環境共創イニシアチブ

 補助金の対象には外皮性能の高い断熱材をはじめ、空調、換気、給湯、照明などの設備が入る(図7)。そのほかに燃料電池などのコージェネレーションシステムや蓄電池、受変電設備やBEMSの導入費を含めることができる。太陽熱など再生可能エネルギーの熱を利用する設備も対象になるが、発電設備は固定価格買取制度があるために対象外になる。


図7 建築物(非住宅)の省エネルギー設備(画像をクリックすると外皮性能と一次エネルギー消費量の計算方法も表示)。出典:国土交通省

 政府は2016年度のZEBの補助金の予算を総額40億円で見込んでいる。1回目の公募で予算に達しなかった場合には、5月下旬から2回目の公募、6月下旬から3回目の公募を実施する予定だ。全国から多数の応募が集まって、モデルケースになるZEBが各地に広がっていくことを期待したい。

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