検索
ニュース

日本の省エネ技術でニューヨークのビルをZEB化、消費電力を半分に省エネ機器

NEDOと清水建設はニューヨーク州立工科大学内のビルを利用して、ZEBの実現に向けた実証試験を開始した。BEMSや燃料電池、太陽光発電システムをはじめとする日本の最新技術を導入し、まずは標準的なビルと比較して消費電力量の半減を目指す方針だ。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 日本でも年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロなるZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)の普及に向けたガイドラインや法規制の整備が進んできた(関連記事)。日本政府は2030年に新築建築物の平均でZEB化を達成するという目標を掲げているが、米国政府も2030年までに全ての新築業務ビル、2050年までに全業務ビルのエネルギー使用量を正味ゼロにする方針を掲げている。日米ともにビルの省エネ化は大きな課題だ。

 こうした背景を受け、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2013年からニューヨーク州立工科大学(SUNY Poly)とビルの省エネ実証の共同実施について検討を進めてきた。具体的には2015年にSUNY Polyが敷地内に建設したビルのZEBの達成に向け、日本の省エネ技術や設備、システムの導入を検討してきた。このほど事業委託先である清水建設が実証技術の導入を完了し、2016年3月22日からZEBの実現に向けた実証試験がスタートした(図1)。


図1 実証技術を導入したビル 出典:NEDO

 実証技術を導入したビルの名称は「Zero Energy Nanotechnology(ZEN)」で、35万6000平方メートルの広さを持つ大型のビルだ。再生可能エネルギーやエネルギー効率化技術の研究開発拠点となっている。清水建設はこのZENに対し、同社が開発したBEMS、RFID(無線認識システム)を用いた位置情報システム、グラデーションブラインド、燃料電池システム、太陽光発電設備などを組み込んでいる。

 RFIDを用いた位置情報システムは、施設内のエリアごとに人の在不在、人数を取得できる。この情報を活用して照明などの設備を最適に制御する他、施設の使われ方の分析に活用する。グラデーションブラインドは清水建設と立川ブラインド工業、トーソーが共同開発したものだ。太陽高度や日射に影響に応じてブラインドの羽の角度を制御できるのが特徴で、自然光を取り入れて照明負荷を下げたり、熱流入を低減して空調負荷を下げたりすることで省エネを図れるという。こうしたシステム郡と燃料電池や太陽光発電設備をBEMSを活用して最適に制御していく(図2)。


図2 ZENに導入した機器 出典:NEDO

 NEDO、清水建設、SUNY Polyはこれらのシステムを活用し、標準的なビルと比較して、消費電力を半減することを目指す。実証は現時点では2017年3月まで行う計画だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る