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ネット・ゼロ・エネルギーの建物が増える、平均42%の省エネ効果にエネルギー管理

政府が2012年度から補助金を出して推進している「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の実施効果が年々高まってきた。2014年度の補助金を受けて対策を実施した建物では、化石燃料を中心とする一次エネルギーの消費量が平均42%も削減できている。

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 「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」は建物全体で消費する一次エネルギーを実質的にゼロにする試みである(図1)。石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料のほかに電力の消費量も削減することで、CO2の排出量を抑制して地球温暖化防止につなげる狙いだ。政府は2012年度からZEBに取り組む事業者に補助金を交付して実施事例を増やしている。


図1 ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実施イメージ。出典:環境共創イニシアチブ

 補助金を運営する「環境共創イニシアチブ」が、交付対象になった建物の実施効果を年度別にまとめた。それによると2012年度の補助金を受けた66件の建物では一次エネルギーの削減率が平均で29.1%だったのに対して、2013年度の91件では31.0%、さらに2014年度(2013年度の補正予算分を含む)の71件では42.3%に上昇した(図2)。削減率が100%に近い建物も出てきている。


図2 各年度の補助金を受けて実施したZEBの一次エネルギー削減率。出典:環境共創イニシアチブ

 このうち2014年度の補助金を受けた建物を用途で分類すると、事務所などのオフィスビルが18件、病院・福祉施設が17件、スーパーなどの店舗が25件と多い(図3)。特に一次エネルギーの削減量が大きいのは郊外型の大型店舗で、削減率は平均で56.3%に達している。


図3 建物用途別の一次エネルギー削減率(「H25補・H26ZEB補助金」の対象になった71件。画像をクリックすると拡大)。出典:環境共創イニシアチブ

 通常は自然界に存在する化石燃料や再生可能エネルギーなどを「一次エネルギー」、そこから生み出される電力や水素などを「二次エネルギー」に分類する。ただしZEBの場合は化石燃料や商用電力の消費量を一次エネルギーに換算する一方、再生可能エネルギーは「創エネ」に位置づけて消費量を削減する効果に加える。

 ZEBの対策は大きく分けて3種類ある。建物の断熱、省エネ機器の導入と節電、再生可能エネルギーの導入である。こうした対策の組み合わせによって、空調や照明を中心とするビルの一次エネルギー消費量を削減する。

 実際の削減効果を見ると、全体の約5割は空調、約3割は照明が占める(図4)。2014年度の建物では換気の省エネ効果も大きく、外気を効率的に活用する取り組みが増えている。創エネの効果は今のところ限定的である。


図4 各設備による一次エネルギー削減量の比率。出典:環境共創イニシアチブ

 政府は2012年度と2013年度にそれぞれ40億円、2013年度の補正予算では30億円、2014年度にも最大30億円の予算をBEMSの補助金に配分した。補助金を適用した建物で一次エネルギーの削減効果が高まっていることから、2015年度も継続する見通しだ。

 ZEBの補助金は1件あたり最高5億円と高額で、対象になる経費の3分の1まで交付を受けることができる。新築のビルでは一次エネルギーの消費量を30%以上、既築のビルでは25%以上を削減することが前提になる。BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を導入することも交付の要件に入っている。

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