ビルも5つ星で評価へ、省エネ性能の表示制度が4月25日から:法制度・規制
これからはビルのエネルギー消費量がひと目でわかるようになる。国土交通省が4月25日から新しい制度を開始して、ビルの省エネ性能を5段階で評価する。評価を受けたビルには1つ星から5つ星までのラベルを付けて、プレートで表示することができる。
レストランを評価するのと同様の星印を使って、ビルの省エネ性能を表示する新制度が始まる。国土交通省が第三者の評価機関に委託して実施するもので、「BELS(Building Energy-efficiency Labeling System、建築物省エネルギー性能表示制度)」の名称で4月25日に開始する予定だ。
建築物の設計仕様をもとに、空調からエレベータまで含めたエネルギーの消費量を計算して、同様の条件の標準的な仕様のビルと比較する。単位面積あたりのエネルギー消費量が標準値から1.1倍以内であれば1つ星が付き、0.5倍以内であれば最高の5つ星が付けられる。標準値と比較した比率は「BEI(Building Energy Index)」として性能表示ラベルに記載する(図1)。
エネルギー消費量の計算方法は国土交通省が2013年10月に策定したガイドラインの中で示されている。ビルの設計仕様をもとに算定する方法で、断熱設備のほかに省エネ機器や太陽光発電設備の導入も加味する(図2)。
ただし節電対策として実施する空調の温度設定などの運用方法については考慮しない。設計図面などからの情報を使うため、新築ビルだけではなく既築ビルにも適用することができる。
この新制度は「一般社団法人 住宅性能評価・表示協会」が運営して、同協会の会員の中から評価機関を募集する。評価者は一級建築士や建築設備士などの資格を持っている専門家で、さらに「BELS評価員講習」を修了することが条件になる(図3)。国土交通省は4月中旬に評価機関の届出の受付を開始したうえで、4月25日からBELSの申請を受け付ける予定だ。
同様の省エネ性能表示制度は東京都が6月から、テナントビルを対象に実施することを決めている。東京都の制度ではCO2排出量の実績をもとに、ビルの規模や用途ごとに平均値と比較して7段階で表示する。理論値ではなくて実績値で評価する点が国の制度との大きな違いである。
いずれの制度でもビルのエネルギー消費量を抑制する効果は期待できる。ビルの所有者がCSR(企業の社会的責任)として積極的に活用することで、電力を中心とするエネルギーの消費量が地域全体で少なくなり、温暖化対策にもつながる。
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