BEMS:管理できる空調の数で分類、ビルの規模に合う製品が分かる:節電に効くシステム(3)(2/2 ページ)
短期連載「節電に効くシステム」の第3回では、BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の中でも、経済産業省の「エネルギー管理システム導入促進対策事業費補助金」の対象となっている製品を整理し、それぞれの製品がどの程度の規模の建物に適しているのかを解説する。
ある程度の数の空調を管理するなら価格は200万円以上に
次は管理対象が4〜10の製品だ(図3)。管理対象がこれくらいの数になると、中規模ビルの中でもやや小さいビルに向けた製品になる。導入価格も200万円を超えるものが多くなり、毎月のサービス費用も1万円程度になってくる。その分、ほとんどの製品が製品価格の1/2の補助を受けられる。補助率が1/3となっている製品は21製品中わずか4製品だ。
管理対象が増えてくるので、管理用のセンサーの取り付け方法を工夫した製品もいくつかある。ケーブルで接続できないような場所でも、無線通信でデータを送信できるようにした製品だ。例えばNTTデータカスタマサービスの「RemoteOne」や、大崎電気工業の「デマンド・マネジメント・サービス(スマートプラン)」などが無線センサーに対応している。無線センサーに対応できる製品なら、配線工事の手間が減り、工事にかかる費用の節約と工期の短縮を期待できる。
管理対象が増えると付加機能も増えてくる
管理対象を11〜49としているのは15製品(図4)。中規模ビルの中でも大きめのビルが対象になるだろう。導入価格が200万円を超える製品がかなり多くなるが、2製品を除けば製品価格の1/2の補助金を受けられる。
このレベルの製品になると、電力消費量だけでなく、温度、湿度などのデータも計測する機能を備えた製品も出てくる。このようなデータも計測し、空調機器をより精密に制御しようというわけだ。NTTファシリティーズの「Webセンシング」や大崎電気工業の「デマンド・マネジメント・サービス(ハイサポートプラン)」が温度などを計測する機能を備えている。
タイマー設定で機器を自動制御することで、消し忘れなどの電気の無駄遣いを防ぐ機能を備える製品もある。NECの「Butics-Es システム」や、アズビルの2製品などがこの機能を備えている。
電力使用量に限らずガス、水道、施錠なども管理
管理対象を50以上としているのは7製品(図5)。導入費用もサービス費用もかなり高くなる。補助率は1製品の除いてすべて1/2だ。このレベルの製品になると、電力使用量を管理し、空調機器などを制御するだけでなく、ガス、水道などの使用量の管理や、ビルの施錠管理といった機能も備えた「ビル管理システム」に近づいてくる。
例えば、NECの「Butics-Js システム」やアズビルの「savic-netFX、Fxmini、EVシステム」、ダイキン工業の「エアネットi D-Bipsモデル」が電力管理にとどまらない機能を備えている。
ほかの製品では制御できない機器を制御できる製品もある。パナソニックESエンジニアリングの「エコ見える化システム(BEMSバージョン)」はパソコンやサーバーの電力設定を自動的に変更したり、停止させるという機能を持っている。
集合住宅や店舗に向けた製品も
最後に、集合住宅に向けた製品と、店舗に向けた製品を紹介しよう(図6)。NTTファシリティーズの「EnneVision」と、エディオンの「エディスマ・エネルギー管理システムComplex」は集合住宅に向けた製品だ。エディオンの製品は共用部の消費電力量を管理し、必要に応じて機器を制御するほか、個別の住戸の電力消費量管理もできる。
NTTファシリティーズの製品は個別の住戸の電力消費量管理だけでなく、時間帯別電気料金やデマンドレスポンスにも対応する。NTTファシリティーズが提供する高圧一括受電サービス「マンション向け電力提供サービス」を利用している集合住宅が導入対象となる。
ほかの製品は店舗、特にスーパーマーケットやコンビニエンスストアなど冷蔵、冷凍機器が大きな電力を消費している施設に向けたものだ。冷蔵、冷凍機器は、霜が付くのを防ぐために、一定の時間ごとに庫内の温度を上げる。しかし一度庫内の温度が上がると、再び下げるには余計な電力を消費する。
そこで霜を取り除くために温度を上げることを止めて、連続運転させたり、温度を上げる回数を減らし、間隔を長くするという工夫で節電が可能になる。
ユアテックの「電力制御システム低圧用」は契約電力が30kW〜60kWと、かなり小規模の施設を対象にしている。BEMSアグリゲータ制度の補助対象は契約電力が50kW以上というのが原則だが、ユアテックの製品はそれよりも小さい施設でも電力消費量管理を可能にするシステムだ。
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