BEMSで2棟のビルを連携して節電、7月の電力を38%も削減:エネルギー管理
自社で開発したBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の導入施設を拡大中の清水建設が、研究所の2棟のビルを連携した節電に取り組んでいる。7月10日〜31日の22日間で、電力のピーク値をBEMS導入前の2010年と比べて38%も削減する効果を上げた。
清水建設が社内で導入を進めている「シミズ・スマートBEMS」は、電力を供給する蓄電・発電機器と利用する空調・照明機器の双方を制御して、電力のピーク値を抑制する(図1)。
2010年10月に東京にある技術研究所の本館ビル1棟に導入して実証実験を開始し、昨年の夏には電力のピーク値を38%削減できることを確認した。今年の夏から対象のビルを2棟に拡大した結果、2棟合計で7月のピーク値を同じく2010年比で38%削減することができた。
BEMSの導入に合わせて、電力の供給源として太陽光発電システムと大型の鉛蓄電池システムも設置した(図2)。日中の電力需要が増える時間帯に太陽光発電でカバーする一方、夜の時間帯の電力を蓄電池に蓄えて日中に供給することで、1日の電力の使用量を平準化する。
電力の使用量が節電目標のピーク値を超えないように、ビル内の発電・蓄電状況に応じて、BEMSから空調・照明機器をリアルタイムに制御する運用も可能にした。
本館ビルは電力会社との契約電力が570kWで、2010年の夏には電力のピーク値が566kWだった。BEMS導入後の2011年の夏には350kWまで削減した。38%の削減率である。
さらに今年の夏は技術研究所内の実験棟のひとつをBEMSの対象に加えて、本館と連携した2棟の体制で節電に取り組んでいる。実験棟では大きな電力を必要とする装置があるため、本館の電力需要と合わせてBEMSでピーク値を抑制する。前日に電力需要の予測値を30分単位でBEMSに設定して、蓄電池や空調機器の運転計画を立案できるようにした。
7月10日から2棟の連携を開始した結果、31日までの22日間の実績で電力のピーク値を444kWに抑制でき、2010年の725kWから38%、本館にBEMSを適用した2011年と比較しても19%削減することができた。
清水建設は今夏の2棟を連携したBEMSの節電効果をふまえて、今後は技術研究所にある15棟すべてのビルにBEMSを展開していく(図3)。2013年度中に実現する予定である。
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