“毎日が、備える日”パナソニックが提案するオフィスBCPの解決策になり得る蓄電システム:災害時のデータ保全やスマホの複数充電が可能に
近年、台風やゲリラ豪雨、地震など、社会インフラに多大なダメージをもたらす甚大な自然災害が日本全国で頻発している。激甚化する災害では、一般市民の被災はもとより、企業の業務が存続できなくなるほどの被害を受けることも多い。昨今は、災害を含む緊急事態に際して、いかに事業を継続させるかという「BCP(事業継続計画)」への関心は社会全体で広がりつつある。そのため、BCPのための多様なソリューションが日々発表されているのは、誰もが知るところだろう。だが、BCPの環境構築には“電源”が切っても切り離せない。停電時にいかに電力を確保するか。“毎日が、備える日”をコンセプトに、住宅/非住宅の分野で「減災」の備えに役立つ製品群を展開するパナソニック ライフソリューションズ社が「蓄電システム」は、その答えを示すキーアイテムになり得るという。
パナソニック ライフソリューションズ社は、新たなリチウムイオン蓄電システム『「産業・住宅用」リチウムイオン蓄電システム スタンドアロンタイプ(蓄電容量3.5kWh)』(品番:LJSF35)を開発した。年1000台の販売を目指し、2021年1月15日から受注を開始する。
なぜリチウムイオン蓄電池システムがBCPにどのように寄与するのか、取り巻く社会変化とともに、パナソニック ライフソリューションズ社の製品担当者に話を聞いた。
パナソニックの豊富な製品ラインアップには、停電時に電力を供給する蓄電池がもともと既存製品で存在する。しかし、これまでにマイナーチェンジを繰り返してきたとはいえ、発売から時間が経過しており、BCPへの意識の高まりとともに社会要請に応える形で今回、現行モデルを大幅にリニューアルし、現代の利用環境によりマッチさせた。
停電を自動検出、常時接続で使える蓄電システム
新たな蓄電システムのLJSF35は、現行機種と同様に、電源と機器の間に配置されることで機能する。利用するコンセントは、一般的なアース付きコンセントに対応し、特別な電源工事などは必要ない。
電源に接続されたLJSF35は、内蔵のリチウムイオンバッテリーに充電を行いつつ、停電を監視する。長時間の停電を避けたい機器や家電、例えば冷蔵庫などを、LJSF35を経由して電源につなぐと、停電時にはLJSF35が自動的に電力を供給する仕組みだ。
LJSF35は、停電を感知して実際に電力が供給されるまでに数秒を要する。このため、IT機器に対して電流の瞬断を回避するUPS(無停電電源装置)のような使い方はできないが、その反面、多くの電力が供給できる利点がある。停電が長引く際に業務を行う上で、PCやスマートデバイス、サーバ、照明などに電力を送り、業務を継続可能な状態を維持する。
通常のACコンセントに加え、4つのUSB端子を搭載
本体サイズは、オフィスや住宅の室内、または廊下に置けるコンパクト設計で、625(幅)×598(高さ)×240(奥行き)ミリ。重さも約60キロと軽量で、付属の固定スタンドを外すことでキャスター移動が可能になるため、任意の場所に動かせる。
新製品のプロモーションを担当するパナソニック ライフソリューションズ社 エナジーシステム事業部 PSマーケティングセンター ソーラーシステム部 課長 高橋典孝氏は、LJSF35の導入のしやすさとして、次のポイントを強調する。
まず、高橋氏が挙げるのが「設置が楽」という点だ。パナソニックには、太陽電池モジュールや同社の電気給湯器である「エコキュート」などと接続できる創蓄連携の蓄電システムがある。これに対し、LJSF35は単体で機能するスタンドアロンタイプ。
スタンドアロンの名の通り単体のみで機能するので、OA機器で用いられるのと同じ三又コンセントを電源に差しさえすれば、その場ですぐに使い始められる。高橋氏は「梱包を外してコンセントを挿せば使える仕様とした」とし、設置も含めて使い始めるまでのハードルの低さも、UPSなどと比べても中小の企業が採用しやすい。
次に高橋氏が挙げた独自性が、充電用にUSBの接続ポートを4基搭載している点。USBポートは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器の充電を想定したもので、USBポート非搭載の現行モデルから強化された部分となる。
現在、スマートデバイスは社会に広く浸透し、コミュニケーション手段として、日常/非日常を問わず手放すことができないツールとなっている。しかし、内蔵バッテリーでの運用が基本のため、停電が長時間に及ぶとバッテリーが持たず、仕事上で必要な連絡や顧客対応に支障をきたすことが多々あった。
LJSF35は、3.5kWhの蓄電容量と1500VAの高い出力性能を備える。これにより、冷蔵庫や電子ケトルなど多くの電力が必要な機器を使いながら、USB接続で複数のスマートデバイスを充電することを可能にした。例えばスマートフォン1台あたり7.5Wで3時間の充電時間とすると、4つのUSBポートを使い4台同時に各ポートあたり15回、合計60台のスマートフォンが充電できることになり、これは停電時の大きな助けとなるだろう。
具体的には停電時に以下の機器を約13時間使用することが可能で、消費電力で合計200Wの場合は冷蔵庫約30W×1台、LED照明約35W×2台、液晶テレビ約26W×1台、スマートフォン約7.5W×4台、扇風機約40W×1台を稼働できる。
また、本体側面の操作パネルには、新たに視認性の良いディスプレイを搭載した。バッテリーに蓄えられた電力と、接続された機器の消費電力から計算した使用可能な電力や残時間が表示され、災害時の緊迫した状況下で、安心感をもたらす。
震度6強レベルにも耐える堅牢さと10年の長期保証で安心・安全
災害時にも問題なく使える堅牢性や安全性も、他の製品には無いウリとなっている。付属の固定スタンドを使うことで、震度6強レベルの大きな揺れを伴う地震でも本体が倒れない。さらに蓄電システム震災対策基準の圧壊試験で、倒れた机や棚などで外部から強い圧力が加わった場合でも筐体が変形しないことが確認されている。
本製品に限らず、バッテリーを用いる蓄電装置では、装置の変形や圧迫によってバッテリーに物理的な力が加わることはご法度だ。安全策が講じられているとはいえ、バッテリーに対する衝撃や圧力は、発熱や発火、爆発などの原因となる危険性がある。
災害時の電源確保のために導入したシステムが、火災をはじめとする新たな災害を引き起こしては意味がない。この点、パナソニックの蓄電システムには高い耐震性という安心・安全が付与されているといえるだろう。
安心・安全という観点では、長期の保証が付いていることも訴求ポイント。バッテリーの蓄電容量と機器自体の瑕疵に対し、それぞれ10年の無償保証を用意している。保証期間中に蓄電容量が規定値以下になったり、正常な充放電ができなくなったりなど、何らかの不具合が出ても、10年間の長期にわたり無償で対応が受けられる。
ちなみに、現行モデルではバッテリーに対する容量保証が7年、機器に対する瑕疵保証が1年となっている。バッテリー以外の機器部分で、保証を10倍にできたのは、蓄電システムや太陽光発電、節電に関する電力インフラを長年手掛けてきたパナソニック ライフソリューションズ社の技術的蓄積があればこそだろう。
独自の保証制度は、不具合が無償で修理されるということはもとより、10年間も安全に運用できるほど、堅牢なシステムであることの表れでもある。いつ発生するとも分からない災害に使う防災システムでは、いざというとき確実に機能する安心感は何ものにも代えがたい。
スマートHEMSとの連携でエネルギーの見える化も
スタンドアロンタイプのLJSF35には、現行モデルにない通信機能も標準搭載されている。通信規格「ECHONET Lite」に対応した通信機能がそれだ。
パナソニックのIoT製品をECHONET Liteを介してつなぐための機器「AiSEG2(アイセグツー)」を蓄電システムに接続すれば、電気の状態を離れた場所から確認できるようになる。つまり、電気の“見える化”だ。また、電気を含むエネルギー全体を効率的に運用するエネルギーマネジメントシステム「スマートHEMS」とも連携することで、HEMSモニターでモニタリングしつつ運用の最適化が実現する。
蓄電システムに通信機能があれば、見える化だけではなく、外部から蓄電システムの操作や照明や空調と連携したBCP対策が図れる。
通信機能は、蓄電システムに関する助成金を受ける条件にもなっているという。通信機能への対応は、新規で追加されたものだが、標準でECHONET Liteに対応する新製品ならば助成が受けられる。また、助成金にはさまざまな要件が設定されているが、本製品で該当するものは他に、圧壊(5トン)への耐久性やバッテリーの容量保証10年を対象とした制度もある。
今回の新製品は、発電機の無いテナントビルに入居する中小規模のオフィスをメインターゲットとしているが、高橋氏は「非常時には、避難場所となる学校などの公共施設、電子カルテのバックアップにも役立つ医療機関での採用も見込んでいる」と補足する。
『「産業・住宅用」リチウムイオン蓄電システム スタンドアロンタイプ(蓄電容量3.5kWh)』(品番:LJSF35)の希望小売価格は126万円(税別)。
顧客の要望にジャストフィットした「創蓄連携システム」
単体で機能するスタンドアロンタイプのLJSF35に加え、パナソニック ライフソリューションズ社では、住宅向けに太陽光発電と連動した「創蓄連携システムS+(エスプラス)」も提案している。
S+は、これまで顧客の要望に応じてバラバラに提案していた機器類をシステム化し、用途や環境に応じて自由に選べる幅を持たせたものだ。基本的には住宅を対象とした製品だが、緊急避難場所となる小規模オフィスや集会所、企業や公共の場での設置も考慮されている。
最大の特徴は、導入以降の環境や要望の変化に応じて、機器や蓄電容量などを増設することができることだ。電圧に関しては自立100Vから、必要に応じて自立200Vトランスを後付け可。200Vトランスを追加することで、停電時にエコキュート(ヒートポンブ給湯機)やIH家電が使える。
蓄電容量に関しては、最小の3.5kWhから最大の11.2kWhまで、その間に5.6kWh、7.0kWh、9.1kWhの計5タイプで、業界最多のバリエーション。さらに、3セット連結することで、最大33.6kWhまでを蓄電する。
S+は、中心に「パワーステーションS+」という本体があり、トランスユニットやリチウムイオン蓄電池ユニット、太陽光パネルを接続する。パワーステーションS+で全体をコントロールする構成となっている。
先に紹介したスタンドアロンタイプと異なり、かなり自由に設置場所を選べるとはいえ、複数の機器から構成されるシステムなので工事は避けられない。しかし、導入後にも機器の追加や蓄電ユニットの増強ができるなど、運用をしながら暮らしの変化に合わせて、その都度、必要となる機能・能力を変えられる柔軟な拡張性があるのが他社製品にはない優位性となっている。
社会環境が目まぐるしく変わる現代社会では、多額の資金が必要な設備投資には正確な予測と綿密な計画が求められている。だが、予測と計算通りにいくことは稀だ。この点、運用しながら、その時々の必要に応じて機能を変更できるシステムであれば、失敗を恐れず導入することができるだろう。
大規模停電(ブラックアウト)が発生した際、電気の供給を確保することは避けて通れない重大な問題となる。“毎日が、備える日。”を掲げるパナソニック ライフソリューションズ社には、日常から万が一のときに備える各種ソリューションをそろえている。助成金で導入のハードルを下げられるこの機に、これまでに無い切り口としてオフィスでのBCP対策の提案に、パナソニックの蓄電池システムと創蓄連携システムを検討してみてはいかがだろうか。
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提供:パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2020年11月6日