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渡辺篤史が探訪! 隈研吾建築都市設計事務所の設計手法とテクノロジー活用の舞台裏

今、最も注目されている建築家といっても過言ではない隈研吾氏。世界で活躍する建築家の仕事の進め方、その設計業務を支えるテクノロジーたちとは?――同氏の事務所の裏側に「渡辺篤史の建もの探訪」で知られる俳優の渡辺篤史氏が迫った。

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 2017年10月中旬、東京都内で開催された「HP大判プリンター・ワークステーション・3D 先進テクノロジーサミット2017」。その基調講演として、「渡辺篤史が探訪する隈研吾建築都市設計事務所の仕事の進め方〜世界各国で進行中のプロジェクトの裏側にHPのテクノロジー〜」と題したトークセッションが開催された。

 トークセッションでは、1989年から続く人気長寿番組「渡辺篤史の建もの探訪」のナレーターを務めるなど、建築への深い愛情と造詣を持つ俳優の渡辺篤史氏、さらに「新国立競技場」の設計を手掛けるなど、今最も注目されている建築設計事務所といっても過言ではない、隈研吾建築都市設計事務所の設計室長を務める名城俊樹氏の対談が実現。渡辺氏が、世界でさまざまなプロジェクトを手掛ける隈研吾建築都市設計事務所の仕事の進め方、さらにその設計業務を支えるテクノロジー活用の舞台裏を“探訪”した。


名城氏と渡辺氏

隈研吾氏の独占インタビュー

 イベントの冒頭では、今回のトークセッションに合わせて行った、隈研吾氏の独占インタビュー動画が放映された。多忙な事務所運営において組織としてのクリエイティビティを保つためのコツ、VRやARといった先進技術の活用など、多岐にわたる貴重な話が披露された。

 隈氏はインタビューの中で、同氏の作品の特徴である、木材などの自然素材を建築デザインに取り入れることの狙いについて、「木材は人間の気持ちを変えるし、優しくする効果がある。20世紀の建築は鉄やコンクリートが中心で、それによって貧しくなった部分もあると思う。そこを木材で変えていきたい。その場所にある木材や石などの自然の素材を、近くの建築に生かすということは、建築と場所をもう一度つなぎ直す行為だと思う」と語る。

 こうした自然の素材を生かした最近の設計事例として、名城氏が紹介した作品の1つが、2017年9月にオープンしたばかりの「新千歳空港 ANA LOUNGE, ANA SUITE LOUNGE」だ。壁面には北海道産の栓(せん)という木材の板材を採用。さらに、「大和張り」と呼ばれる、板材を1枚おきにずらして重ねることで凹凸を生む技法を取り入れ、和のテイストを表現した意匠となっているのが特徴だ。また、空の窓口である空港のラウンジであるため、天井部分では飛行機の「フラップ」をイメージしたデザインを和紙で表現している。


「新千歳空港 ANA LOUNGE, ANA SUITE LOUNGE 」 写真提供:隈研吾建築都市設計事務所

渡辺 篤史(わたなべ あつし)茨城県生まれ。1960年、テレビドラマ「にあんちゃん」でデビュー。以後、テレビの歴史をなぞる如く、数多くのドラマに出演。最近では、2002年日中合作映画「王様の漢方」に主演。 現在、ナレーターとしても活躍。NHKスペシャル「東京百年物語」、「スセソとデカセギ」、特に、1989年から続く人気長寿番組「渡辺篤史の建もの探訪」では、放送開始時からホスト役を務め、建築への深い造詣を生かしたレポートぶりには定評がある。 著書には『渡辺篤史のこんな家を建てたい』(講談社)他多数。

 これまでさまざまな住宅を探訪する中で、隈氏が手掛けた住宅にも訪れたことがあるという渡辺氏。だが、自身の自宅はコンクリート打ちっ放しで、「冬は寒く、夏は暑い。しかも、地下のオーディオルームは音が響きすぎるし、建てた直後は、しまった……と、すごく後悔しました(笑)」と話す。その体験もあって、木材を生かした建築には大きな魅力を感じるという。

 そんな渡辺氏が隈氏の木材を生かした作品の中で、「建設中に、何度も写真を撮りにいってしまった」というほど感銘を受けたというのが、東京・表参道にある「サニーヒルズジャパン」だ。台湾に本店を置くパイナップルケーキの専門店「SunnyHills(微熱山丘)」の日本第一号店として2013年にオープンした、木造3階建ての店舗である。

 ひと目見たら忘れられない、印象に残るその外観は、「地獄組み」という日本の木造建築に伝わる接合技法によるもの。60×60mmの木造部材を一定の角度で接合し、立体的に組み上げることで、独自の外観を構築している。


「SunnyHills(微熱山丘)」 撮影:Daici Ano

隈研吾建築都市設計事務所の舞台裏


名城 俊樹(めいじょう としき) 1979年東京都生まれ。法政大学建築学科卒業、慶応義塾大学大学院理工学研究科修了。2004年隈研吾建築都市設計事務所入所。担当作品に、サントリー美術館、シティホールプラザアオーレ長岡、Water/Cherry、南三陸さんさん商店街等。現在、同社設計室長。

 このような国内の案件だけでなく、当然ながら海外でのプロジェクトも数多く手掛ける隈研吾建築都市設計事務所。常に複数のプロジェクトを抱える多忙なスケジュールの中、どのように設計業務を進めているのだろうか。

 名城氏は「隈も言っていますが、とにかくコミュニケーションを大切にしています。隈はやはり海外にいることも多いので、日常的にデザインに関する確認はメールで行うことが多いです。メールを送るとすぐに電話がかかってくるので、話しながら案を詰めていきますね。常にみんなでディスカッションをしながら進めていくというスタイルです」と話す。

 だが、隈氏とのやりとりの中で、名城氏が最も面白いと感じるのは、実際の現場でのやりとりだという。「現場に出て、『ここの設計はどうしましょう?』と話すと、隈はその場ですぐに方針を決めていく。そのコミュニケーションの瞬間が非常に面白いですね」(名城氏)

 こうした隈研吾建築都市設計事務所の設計業務は、現代のさまざまなテクノロジーの支援なしには成立しないという。例えば、日本と海外で円滑に設計図面のやりとりができるプリンター/スキャナー、さらには複雑な建築物をデザインするためのデジタルツールや、建築物のモデルデータをスムーズに扱うための高性能なワークステーションなどだ。隈研吾建築都市設計事務所では、こうした設計業務に欠かせないプリンターやワークステーションに日本HPの製品を導入しているという。そこでトークセッションの後半では、名城氏と渡辺氏が"ユーザー目線”で同社の新製品群をレビューした。

超小型ワークステーション「HP Z2 Mini G3 Workstation」

 1つ目に紹介されたのは、日本HPの新型のワークステーション「HP Z2 Mini G3 Workstation」(以下、Z2 Mini G3)だ。建築設計などに利用する、業務用途向けのワークステーションというと、箱型の大きなサイズを想像する人が多いはず。しかし、Z2 Mini G3はそうしたイメージをくつがえすコンパクトさが特徴のワークステーションだ。外形寸法は216×奥行216×高さ58mmで、重量は標準構成時で2.08kgである。


「HP Z2 Mini G3 Workstation」

 また、軽量かつコンパクトでありながら、「Intel® Xeon® E3-1200v5」製品ファミリーが搭載可能で、メモリは最大32GB(ECCメモリ)までの拡張に対応するなど、建築設計として十分に利用できるスペックも確保している。

 Z2 Mini G3を手に取った名城氏は「片手で簡単に持てるんですね」とその軽さに驚きのコメント。隈研吾建築都市設計事務所では現在、「HP Z840 Workstation」(以下、Z840)などの大型のワークステーションを10台近く導入。先述したSunnyHillsの設計では、割り箸を組み上げるような複雑な構造をデザインするためのパラメトリック・モデリングで、Z840が活躍したという。一方で「実はうちの事務所はとても狭いので、Z2 Mini G3のような、机のスペースを確保できる小型のワークステーションというのはとても良いですね」と話す。渡辺氏も「工業デザインとして素晴らしい」と、そのスマートな外見に高評価を与えていた。

小型軽量なのにA1サイズ対応の複合機「HP DesignJet T830 MFP A1モデル」

 2つ目に紹介されたのは、プリンターとスキャナーを兼ね備える大判複合機の新製品「HP DesignJet T830 MFP A1モデル」だ。本体サイズが幅1098×高さ960×奥行629mmと従来モデルより大幅にコンパクトであり、大人一人でも押して運べる51kg(スタンド含む)の重量でありながら、A1サイズのスキャンとコピーに対応できるのが大きな特徴だ。出力解像度は最大2400×1200dpi。Wi-Fi接続にも対応しており、スマートフォンやタブレット端末からからのモバイルプリントも可能だ。「Wi-Fi Direct」にも対応している。


「HP DesignJet T830 MFP A1モデル」

 建築設計においても3Dモデルなどの利用が普及しつつある昨今だが、名城氏は「結局、施工現場では平面図と断面図を使うので、現場で図面を確認する際には、やっぱりA1サイズで印刷する必要がある。A1サイズの図面を精細に確認できるモニターはないので、図面をチェックする時は圧倒的に紙の方が有利です」と語る。

 実は名城氏はこの新製品の開発に協力しており、発売前から事務所にテスト導入し、実際の設計業務で活用していたという。使用してみた感想として名城氏は「実際のコンペ用の図面を印刷したり、スキャンした図面を他の現場に送ったりして使っていました。先ほども話しましたが、事務所に広さがあまりないので、この大きさでA1サイズのコピーとスキャンができるというのはすごくありがたい。実は私自身で組み立てたのですが、セッティングも簡単で1時間くらいで行えました」と太鼓判を押した。

“デジタル壁紙”が印刷できる「HP Latexプリンター」

 最後に紹介されたのが業務用大型プリンター「HP Latexプリンター」だ。一般的なプリントはもちろんのこと、屋内看板や屋外看板、車両ラッピング材、壁装材などに印刷できるのが大きな特徴のプリンターである。


「HP Latex 115 プリント&カット」

 トークセッションでは、HP Latexプリンターと、他社のプリンターで印刷したポスターの耐久性を比較するデモを実演。渡辺氏がその場で2つのポスターをコインでこすってみたところ、HP Latexプリンターで印刷したポスターの方は、ほとんど傷がついていなかった。このように、強い耐久性を持ったポスターなどを印刷できるのがHP Latexプリンターの大きな特徴だという。また、インクには水性の「Latexインク」という独自のインクを利用しており、臭いが無いのも特徴だ。印刷してすぐ室内に貼り付けても問題ないという。

「HP Latexプリンター」で印刷したポスターはコインで削っても傷がつかない

 渡辺氏が特に驚いていたのが、織物壁装の上にHP Latexプリンターで印刷を行った壁紙だ。織物という基材のデザインと、デジタルなデザイン図案のコラボレーションを目にした渡辺氏は、「こんなことができるなんで、ちょっと驚き。素晴らしい!」と感嘆のコメント。


織物壁紙に重ねて「HP Latexプリンター」で印刷を行った壁紙

 建築設計だけでなく、車両のラッピングデザインなども手掛ける名城氏は「最近、クライアントから独自のスペシャルなデザインを求められることが増えています。そういったデザインと非常に相性が良さそうなので、ぜひ色々使ってみたい」と期待を込めた。   

 隈研吾氏の独占インタビューから始まり、隈研吾建築都市設計事務所の設計業務を支えるテクノロジーまで、幅広い話題に及んだ今回のトークセッション。「これから世界を代表する建築になる『新国立競技場』ができるわけですが、今日はそうした隈研吾建築都市設計事務所の設計の裏側に、日本HPのテクノロジーがあるんだということを体感しました。これは隈研吾氏だけではなく、世界中の建築家が頼りにする!」――渡辺氏も太鼓判を押す日本HPのテクノロジーに、今後も注目だ。


隈研吾氏の独占インタビュー動画はこちら!


トークセッションと、放映した隈研吾氏の独占インタビュー動画はこちらからご覧になれます。ぜひご覧下さい



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提供:株式会社日本HP
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2017年12月26日

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