著名建築家たちが集結した「ArchEd+ Academy」始動 建設ユーザーが語る真の価値建築教育に「知の循環」を!

2025年12月に、従来の建築教育の常識を覆すeラーニングサービス「ArchEd+ Academy」が正式リリースされた。実務知を動画で学ぶだけで終わらせず、学習成果の可視化に加え、著名建築家や学習者コミュニティーとのリアルな交流といったオンラインとオフラインの両輪で“知の循環”を掲げる。既にβ版を体験した建設会社は、設計者の新人教育に用い、有用性を実感したという。

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» 2026年02月19日 10時00分 公開
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 総合建築設計事務所のプランテックからスピンアウトした「Arch Nexus Foundation(アーキネクサスファンデーション)」は2025年12月26日、東京都港区の国際文化会館の岩崎小彌太記念ホールで、「ArchEd+ Academy(アーキエデュプラス アカデミー)サービス開始記念 特別講演会」を開催した。講演会では、建築教育のeラーニングサービスを立ち上げた意図から、運営体制、カリキュラム設計、β版ユーザー企業の所感までの全体像を浮き彫りにした。

「ArchEd+ Academy」公式発表の場となった特別講演会 「ArchEd+ Academy」公式発表の場となった特別講演会

“知の循環”で建築教育をアップデートするプラットフォーム

 第1部では、グローバルで活躍する建築家でArchEd+ Academy 学長の国広ジョージ氏が登壇し、その冒頭でArchEd+ Academyの目標を「未来を育むグローバルな建築教育プラットフォーム」と表明した。プラットフォームでは、動画で学びながら、受講者同士や著名建築家ともつながる機会を提供し、現世代の知識や暗黙知を次世代へ伝えることを狙う。 

ArchEd+ Academy 学長を務める国広ジョージ氏 ArchEd+ Academy 学長を務める国広ジョージ氏

 国広氏によると、ArchEd+ Academyの価値としては、まず設計・施工から法規、マネジメントまで含む実務教育を5分程度のショート動画として提供することにある。プレミアム会員向けには、各分野の専門家に質問できるQ&Aセッションや限定コンテンツも用意する。学習成果はテストやクイズなどで可視化し、習得段階を企業内評価や転職時のアピールなど客観的にも示せる仕組みを構築する。

 さらに建築専門家と直接対話できるユーザーコミュニティーも運用し、学びと人の輪を接続する。

 建築教育の提供は国内だけに閉じず、英語、ベトナム語、ポルトガル語、中国語、韓国語など多言語(※随時拡大を検討)にも対応。海外の建築実務や教育に関する情報も収集してコンテンツ化し、海外進出を目指す受講者や企業のニーズにも応える。将来は、キャンベラ協定など国際的な建築教育の認定も視野に入れる。

 サービス全体の設計思想では、実務教育を起点に、建築を文化や社会と結び付けて捉える「包括的(ホリスティック)な学び」を根幹に定める。意匠・構造や環境、材料、都市計画などを横断して関連付け、文化や歴史の理解を土台に設計・監理の実務へつなげる。国広氏は「建築が技術の集積にとどまらず、社会や文化と直結する領域だと伝えたい」と意気込みを口にした。

 また、国広氏は「大学や大学院を卒業した後の継続教育の必要性が高まっているだけでなく、ここ数年で建設業に限らず、周辺産業でも建築の基礎理解が重要視されている。その受け皿にArchEd+ Academyはなり得る。建築業界の発展のためには、建築文化を教養として社会に啓発することも欠かせないため、子ども向けプログラムの発信も計画している」と構想を明かした。

 対象は建築実務者、文系を含む学生、建築専門家と協業する企業や団体、一般までと幅広い。個人/法人向けの提供形態を用意し、体系的な動画学習(ArchEd+ Academy)、一般向け動画発信(YouTubeチャンネル)、講演会や交流会のオフラインイベントを組み合わせ、学びと発信、対話が循環する場を創出する。将来は会員20万人規模を目標に、2030年までに大規模な建築教育のプラットフォームとする事業戦略だ。

 今後のマイルストーンでは、受講者のニーズをヒアリングし、「目指す姿」と「現在地」のギャップを埋める学習支援サービスとしていく。有人支援から開始し、蓄積される教師データをもとに学習モデル化を進め、AIと有人支援で初級から上級までの動画を中心とした学習コンテンツを提供する方針を打ち出している。

ArchEd+ Academyの最終目標 ArchEd+ Academyの最終目標

専門家ネットワークで学びの質を担保する運営体制

 特別講演会の第2部では、ArchEd+ Academyの運営体制と講師陣を紹介した。運営の中核には、学長に国広ジョージ氏、学術プロンプト委員会の委員長は明治大学 名誉教授の小林正美氏が務め、サービスの方針と学術面の両面からプラットフォームを支える。外部有識者で構成するアドバイザリーボードも設置し、議長には早稲田大学 栄誉フェロー/名誉教授の古谷誠章氏が就く。他のボードメンバーや学術プロンプト委員会の委員には、国内外で著名な建築家や建築系大学の教授などからの招へいを予定する。

ArchEd+ Academyの運営体制 ArchEd+ Academyの運営体制

理論×実務×事例で学習経路を行き来する新設計

 第3部では明治大学 名誉教授の小林正美氏が、国広ジョージ氏が掲げた理念を具体的なカリキュラムへ落とし込む立場から全体像を説明した。

 小林氏は、日本の建築系大学の教育は社会の変化に比して更新されにくいと指摘し、その要因に建築士資格制度を挙げた。一級建築士受験に必要な科目編成が大学運営上の要件となり、「構造・環境(設備)・計画・意匠」という枠組みが固定化しやすいからだ。小林氏は「その枠組みが学習者にとって最適な学びかは別問題だ」と疑問を呈した。

ArchEd+ Academyの全体像を解説する明治大学 名誉教授 小林正美氏 ArchEd+ Academyの全体像を解説する明治大学 名誉教授 小林正美氏

 こうした課題意識を踏まえ小林氏は、国広氏らと議論を重ね、ArchEd+ Academyにおける学びの全体像をマトリックスとして設計し、会場スクリーンで提示した。

 マトリックスの横軸はAcademic(理論)、Case Study(事例研究)、Practical(実践)の3区分で構成する。Academicには「構造」「環境」「プランニング・デザイン」などを置き、Practicalには工事や施工を含む「実務」を配置した。小林氏が最も強調したのは、その中間に置かれたCase Studyで、「知恵は基礎となる理論や知識と、経験の掛け合わせで生まれる」と考えるためだ。

 Case Studyは「プランニング・デザイン・メソッド」と「プランニング・デザイン・スキル」に分かれる。

 「メソッド」では、実務事例や建築家自身による作品紹介などのコンテンツを予定。建築家自身にも失敗とリカバーの経験を語ってもらい「解決のプロセス」を共有する講義も計画中だ。

 「スキル」では、AIやBIMなどの技術的学びを扱いつつ、スタジオワークやワークショップで展開する可能性にも触れた。

 マトリックスの縦軸は難易度で、初心者向けの「教養」から「基礎理論」、資格受験に必要な知識、大学院レベルの「先進理論」へと連続させている。

ArchEd+ Academyの全体像を示すマトリックス ArchEd+ Academyの全体像を示すマトリックス

 小林氏はArchEd+ Academyの枠組みの特長について、「縦割りで順に学習を積み上げるのではなく、受講者が自分の課題に応じて領域や学びのタイプを行き来できる」と解説する。実務やケーススタディーの後に基礎理論へ戻る、もしくは別領域の授業を取り直すなど、課題解決型で学習経路を設計できるという。

 さらに小林氏は、企業関係者や非建築系の受講者にも門戸を開いている点を挙げた。「設計・施工の専門職に限らず、不動産、デベロッパー、PMなど建築に関わる周辺職種でも、共通言語を押さえれば社内教育や協業の土台になる。オンライン学習ならば全国どこでも同一のコンテンツを享受でき、OJTの質に左右されやすい教育格差が是正される。テストなどで到達度を可視化し、学びの水準を平準化していくことが、建築界全体のレベル向上にもなる」との見立てを示した。

β版利用者の実感が示す発展可能性

 講演の最終パートでは、国広氏と大和リース 本社設計推進部 人財育成課 次長 山下裕充氏が登壇し、先行利用したArchEd+ Academy β版の使用感を対談形式で共有した。

 導入目的について山下氏は、「全国にある拠点の設計者教育がOJTだけでは限界があり、新入社員教育向けに試験導入した」と説明。使ってみた第一印象は、工事区分(ABC区分)といった実務上の前提を押さえる内容や意匠設計の役割が、「図面を描くだけではない現場に直結する視点が動画で整理されている点に感銘を受けた」と感想を述べた。

ArchEd+ Academy β版の使用感を述べる大和リース 本社設計推進部 人財育成課 次長 山下裕充氏 ArchEd+ Academy β版の使用感を述べる大和リース 本社設計推進部 人財育成課 次長 山下裕充氏

 新入社員が特に評価したのは、5分ほどでスキマ時間に視聴できる短尺動画と、その後に続く理解度を自身で測れるミニテストだ。一方、改善点は、有料/無料コンテンツの導線が分かりにくい部分と進捗の可視化の他、動画視聴中にメモを取れる機能も要望した。対して国広氏は、導線や表示面(フォントや強調)などの改善を含め、いずれも実装に前向きな姿勢を示した。

 国広氏から「他社におススメしたいか」と問われると、山下氏は肯定し、「これからの時代は、人手不足を背景に文系出身の技術職が増えるだろう。建築の面白さから学べる点が学びの入り口として有効となるはず」と答えた。また、「入社2年目の社員が1年目に教える際の共通教材としても活用する予定だ」との意向を伝えると、国広氏は意外な発見だったとコメントした。

 最後に山下氏は、仕事量の増加と時間外労働の抑制との相反するテーマが同時に求められる中、教える側も学ぶ側も疲弊しやすい現状を踏まえ、「ArchEd+ Academyが教育の補助と平準化に寄与するツールとして現場の課題解決に直結する」と期待を寄せた。国広氏は、「要望を具体的に挙げてもらえれば即座に反映できる小回りの利くプラットフォームとしていきたい」とし、ユーザーからの意見募集を呼びかけ、対談を終えた。

山下氏とArchEd+ Academy 学長の国広ジョージ氏との対談では、今後の継続的なアップデート方針も示された 山下氏とArchEd+ Academy 学長の国広ジョージ氏との対談では、今後の継続的なアップデート方針も示された

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アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2026年4月18日