建設領域で現場をデジタルツイン化する動きが加速し、3D点群データを扱う機会が増えている。一方で「点群データを安定して扱うには、どの程度のPC性能が必要なのか」と判断に迷う声も少なくない。福井コンピュータとマウスコンピューターが行った点群処理ソフト「TREND-POINT」を用いた実機検証を基に、現場に最適なPCの条件を探る。
i-Construction 2.0を背景に建設現場をデジタルツイン化する動きが加速し、3D点群データを扱う機会が増えている。その一方で悩みの種となっているのが、「大容量の点群データに適した作業環境」だ。土量計算や進捗管理、出来形管理などの業務で、点群データの活用を支援する点群処理ソフトの普及も進みつつある。
そうした中、点群処理を安定して行えるハイスペックPCとして注目されているのが、マウスコンピューターの16型ノートPC「DAIV(ダイブ)Z6-I9G70SR-A」と18型「DAIV N8-I9G90BK-A」だ。今回、福井コンピュータはTREND-POINTを用いて、実際の業務で想定される負荷環境を再現しながら両モデルの性能を検証した。福井コンピュータ 企画部 部長 平林恒治氏と土木商品企画室 朝倉正敏氏に、テスト結果と併せて両モデルの具体的な活用シーンなどを聞いた。
平林氏は「近年、測量デバイスの進化に伴い、広い範囲を計測することが多くなり、データサイズが1.5倍程度に増えるケースもある。日常的に大量の点群を扱う機会が増えたことで、ユーザーからTREND-POINTの利用には、どの程度のPC性能が必要かとの相談も寄せられる」と話す。
TREND-POINTは2015年のリリース以来、専門知識が乏しくても直感的に操作できるUI/UXと処理速度の高さが評価され、シェアを伸ばしてきた。最新のVer.12では写実的な3D表示を可能にする「3D Gaussian Splatting(3DGS)」機能や写真と点群の重畳機能を搭載。道路のクラックや微細な凹凸、境界/交差部など、これまで識別が難しかった部分の確認精度が向上した。
福井コンピュータはデータ量に応じた推奨のPC性能をWebで公開しているが、「今回の検証を引き受けたのも、TREND-POINTの処理でどれ程の性能が必要なのかを当社として改めて正確に見極めようと考えたからだ」と平林氏は説明する。
| DAIV Z6-I9G70SR-A(NVIDIA Studio 認定PC) | DAIV N8-I9G90BK-A | |
|---|---|---|
| CPU | インテル Core i9-13900H プロセッサー | インテル Core Ultra 9 プロセッサー 275HX |
| グラフィックス | GeForce RTX 4070 Laptop GPU | NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPU |
| メモリ | 32GB(16GB×2/デュアルチャネル) *検証機は64GBにBTO | 32GB (16GB×2/デュアルチャネル) *検証機は128GBにBTO |
| M.2 SSD | 1TB(NVMe Gen4×4) | 2TB (NVMe Gen4×4) |
| パネル | 16型 液晶パネル (ノングレア/sRGB比100%/Dolby Vision対応) | 18型 液晶パネル (ノングレア/ DCI-P3 100%) |
| バッテリー動作 | 約16時間 | 約9時間 |
実機検証ではTREND-POINT Ver.11と3DGSに対応したVer.12の動作を試した。
検証機のマシンスペックは、DAIV Z6-I9G70SR-AのCPUが第13世代のインテル Core i9-13900H、メモリ64GB(BTO最大64GBメモリ搭載まで対応/標準32GBメモリ)、GPUにNVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU(VRAM8GB)の構成で、現場での機動力と十分な演算処理を両立したモデルだ。DAIV N8-I9G90BK-Aはインテル Core Ultra 9 275HX、メモリ128GB(BTO最大128GBメモリ搭載まで対応/標準32GBメモリ)、NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPU(VRAM24GB)を搭載するハイエンド機で、大規模点群処理やレンダリングといった重負荷の作業に強い。
点群データは2.4億点、14億点、28億点を使い、メモリへのデータの読み込みとフィルタリング/間引きなどのコマンド動作を比較した。
朝倉氏は「結果として一般的な土木現場を想定した点群処理では、両機に目立った違いはなかった。その理由は、点群処理のパフォーマンスは、演算性能やGPU性能よりも大容量データを扱うメモリ性能に大きく左右されるためだ」と指摘。DAIV Z6とDAIV N8ではCPUやGPU、メモリの構成が異なるものの、今回の検証内容ではCPU性能が処理速度のボトルネックにならなかったため、両機の差が表れにくかったという。
「BIM/CIMなどでは、高精細なレンダリング処理を高速に行うため、3D描画に関わるGPUの性能は高いほど望ましいのが一般的だ。ただ、今回の検証で点群処理ではGPU性能の影響はほぼないと確認できた。理解していたつもりだったが、ここまで差が出ないのは想定外だった」と朝倉氏は感想を漏らす。
点群データの標準ファイル形式「Las」と可逆圧縮形式の「Laz」の読み込み速度では、2.4億点のLasファイルでは差はなかったが、データ量が増えるにつれてメモリ容量の差が影響し、28億点ではDAIV N8の優位性が明確になった。
28億点について朝倉氏は、「公共事業などで相当広い範囲を計測する場合の点群数だ」と語る。ドローンで何ヘクタールもの広域を計測する他、山林測量や災害現場などの広域調査で扱うことはあるものの、一般的な土木工事ではここまでの点群量を扱うことはあまりないという。
Lazファイルは圧縮データを展開するために、Lasファイルよりも読み込み時間がかかる。14億点と28億点のデータでは、128GBメモリを搭載するDAIV N8の方が明らかに速かった。
フィルタリングや間引きなどのコマンド動作は、ファイル読み込み処理とは異なり、メモリ容量の影響は限定的だ。点群表示処理についてはGPUのビデオメモリを使用するため、一部でDAIV N8の優位性が認められた一方、土量計算や3DGSの処理速度にはっきりとした違いなかった。
今回の結果を踏まえ平林氏は、「点群が3〜10億点相当の一般的な土木現場であれば、CPUはインテルのCore i5〜i7相当、メモリ16〜32GB、VRAM8GBほどで問題なく運用できる。DAIV Z6/DAIV N8ともにその水準を満たしており、現場利用に適している」と総評する。
その上で、日常業務での「普段使い」にはDAIV Z6を推奨する。点群処理に必要な性能を確保しながら携帯性も高い点が評価の理由だ。本体重さ約1.6キロ、付属のACアダプターも重さ約323グラムと軽量で、平林氏によると、「社員からは、DAIV Z6を使用できれば出張時の荷物が軽くなり移動が楽になるといった声が挙がっている。外出用と事務所用でPCを2台使い分けている社員からも、DAIV Z6であれば1台に集約できそうだとの意見があった」という。
さらにUSB Power Deliveryの本体充電にも対応している点も、現場や出張での使い勝手を高めている。
「現場で取得した点群データを事務所に戻らずその場で確認して、計測漏れや測り直しをチェックできるため、二度手間を防ぎ、業務効率の点で極めて重要だ。現場と事務所を往復する時間を削減し、PCを常に持ち歩けるため、現場事務所での盗難リスクを抑えることができる」と平林氏。
事務所では外付けモニターの利用が一般的になりつつあり、DAIV Z6も最大4画面出力にも対応している。一方でDAIV N8は、18型液晶パネルのため、単体で視認性の高い作業環境を確保できる利点がある。24コア24スレッドの処理能力を持つインテル Core Ultra 9 プロセッサーを搭載し、レンダリングなどの“重い処理”に向く。デスクトップ型と遜色ない性能で、点群データ以外にモデリングなどグラフィックス処理を行うソフトも使用するなど多様な処理を担う中核機として機能する。
建設DXの今後の進展について平林氏は、「デジタル技術による業務プロセス改革は今後さらに広がる」との見方を示す。現場で安定稼働するPCをどう選ぶかは、日々の生産性を左右する重要な要素になる。
平林氏は「建設向けソフトウェアの開発会社としてPC選定で重視するのは、現場でどれだけ使いやすいか。マウスコンピューターのノートPCは土木現場で安心して普段使いできる製品だ」と太鼓判を押した。
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提供:株式会社マウスコンピューター
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2026年3月28日