BIM/CIM原則適用、深刻な人手不足、働き方改革……。今、建設業界は待ったなしのDXを迫られている。しかし、その推進を阻む意外なボトルネックが「PC」だ。BIM/CIMの性能を100%引き出し、生産性を最大化する「PC基盤」とは?
深刻な人手不足、働き方改革、そして2023年度から本格化した国土交通省主導の「BIM/CIM原則適用」。建設業界は今、待ったなしのDXを迫られている。2次元図面から3次元モデルへ、アナログからデジタルへと、業務のあり方が根底から変わろうとする中、多くの現場で「ソフトを入れたが重くて動かない」「どんなPCを買えばいいか分からない」といった悲鳴が上がっている。実はDX推進のボトルネックとなっているのは、意外にも「PC選定」の壁だったのだ。
建設業界の生産性を最大化するPC基盤とは何か。建設ITジャーナリストの家入龍太氏が、BTOパソコンで法人市場での存在感を高めるサードウェーブの鈴木由希子氏(法人事業統括本部 法人マーケティング本部 営業企画部 部長)と対談。建設DXを成功に導くPC選びの最適解を探った。
家入氏: 私が取材を通じて痛感しているのは、建設業界におけるPCの役割が、ここ数年で劇的に変化したということです。国土交通省がi-Constructionを打ち出す前の十数年前の話ですが、当時は発注者である役所側のPCスペックが低く、せっかく建設会社が3Dデータを作っても「重くて開けないから納品しなくていい」と言われることさえありました。それが3D化を遅らせていた一因でもありました。しかし2015年にi-Constructionが始動し、点群データやドローン測量が普及すると状況は一変しました。扱うデータ量が飛躍的に増大し、それを処理するためのPCスペックが業務効率に直結するようになったのです。経営者の中には「PCなんて事務用品だろう。数秒遅くても変わらない」と考える方もいますが、その数秒の積み重ねが現場のストレスになり、生産性を大きく下げています。PCはもはや事務用品ではなく、利益を生み出すための「建設機械」と捉えるべき時代になりました。
鈴木氏: 実際、サードウェーブへの問い合わせ内容も変わってきています。以前からCAD系のお問い合わせは多かったものの、2D図面作成が作業の主であった時代背景もあり、GPU依存が低く、i5以上のCPUと8GBがあれば作業としては十分でした。ここ数年は「この建設用3D CADソフトは快適に動くか」「BIM/CIM対応のPCが欲しい」といった、具体的なアプリケーション名を挙げたご相談が急増しています。特に「3Dモデルを扱うようになってから、今のGPU非搭載かつメモリが8GBのPCでは動作が重くて仕事にならない」という切実な声が多く寄せられています。
家入氏: そうした状況下で、非常に印象に残っている事例があります。地方の小規模な建設会社を取材した時のことです。彼らはICT建機用の3Dデータ作成や点群処理をバリバリ活用しているのですが、そこで使われていたPCが全て「BTO PC」だったのです。
鈴木氏: BTO PCですか。まさにサードウェーブの得意分野ですね。
家入氏: ええ。中にはゲーミングPCを使っているユーザーもいました。筐体が虹色に光っていました(笑)。なぜBTO PCなのか社長に聞くと「社内にPCに詳しい社員がいて、必要なスペックを見極めて自作している」と言うのです。彼らの業務では、超高画質なレンダリングまでは求められないため、高価なハイスペックGPUは必要ない。その代わり、巨大な点群データを扱うためにメモリは大量に積みたい。そうやって必要な部分にお金をかけ、不要な部分は削ることで、大手メーカー製のワークステーションよりも、自社の用途に合わせた自由なカスタマイズをし、より納期が早く、比較的安価に購入できる最適な超高性能PCを調達していたのです。そして彼らは「手間がかかり利益の上がらない山間部の土木工事」を、高性能PCを駆使して「短時間で終わる儲かる仕事」に変えていました。これこそが建設DXの成功例だと感じましたが、同時に「多くの会社には、そこまでPCに詳しい社員はいない」という課題も浮き彫りになりました。
鈴木氏: おっしゃる通りです。多くの企業ではPC選定に詳しい人材がいないため、大手メーカーのカタログにある「標準モデル」を選びがちです。しかし、3D CADやBIM/CIMソフトと一口に言っても、ソフトによって求められる性能は全く異なります。例えば、CPUのクロック周波数が重要なソフトもあれば、GPUの描画性能が命のソフト、あるいはメモリ容量がボトルネックになる作業もあります。画一的なパッケージ製品では、ある部分ではオーバースペックで無駄なコストを払っているのに、肝心なメモリが足りないため動作が重い、といったミスマッチが頻繁に起きています。
家入氏: 「高価なワークステーションを買ったのに遅い」という悲劇ですね。そこでサードウェーブが提供する「BTO PC」が効いてくるわけですね。
鈴木氏: はい。BTOとは「受注生産」の仕組みです。サードウェーブは40年にわたりPC製造に携わってきましたが、最大の強みは「必要なパーツを自由に組み合わせられる」ことです。「CPUはCore i7でいいけれど、メモリは64GBに増設したい」「GPUはこのグレードにしたい」といったご要望に、1台からきめ細かく対応できます。先ほどの建設会社の例のように、業務に必要な性能だけにコストを集中させることで、導入コストを抑えつつ、現場が本当に快適に働ける環境を提供できるのがBTOのメリットです。
家入氏: BTOというと「PCに詳しい人向け」のイメージがありましたが、費用対効果を考えると、中小の建設会社こそ活用すべき選択肢ですね。
鈴木氏: さらにサードウェーブでは、国内生産ならではのスピードも強みとしています。一般的な海外メーカーのBTOだと納品まで数週間かかることもありますが、サードウェーブは最短2日で出荷可能です。また、サポート体制も国内に拠点を置き、24時間365日の電話サポートを行っています。現場の業務は止めることができませんから、トラブル時に「海外の本国に問い合わせるので回答は1週間後です」では済まされません。いつでもつながる安心感も、多くの法人に選ばれている理由の一つです。
家入氏: ただ、BTOは自由度が高い分、「結局どの組み合わせを選べばいいか分からない」という悩みも出てきそうです。先ほどの事例のようにPCに詳しい社員がいればいいですが、多くの場合は「ソフトメーカーの推奨スペックを見てもよく分からない」というのが本音でしょう。
鈴木氏: その課題を解決するために、サードウェーブが力を入れているのが「CAD・BIM/CIMソフト動作確認済みモデル」です。これは単にスペック表を見て「動くはず」としているのではなく、建設分野で使われる主要なソフトメーカーと連携し、実機で動作検証を行ったモデルです。
家入氏: それは心強い。「このソフトを使うなら、このPCを買えば間違いない」というお墨付きがあるわけですね。
鈴木氏: はい。検証では、単に起動するかどうかだけでなく、レンダリングにかかる時間や、高負荷時の安定性などもチェックしていただいています。われわれはゲーミングPCブランド「GALLERIA」で培ったノウハウがあり、特にGPUを搭載した際の冷却性能や排熱設計には自信を持っています。長時間のレンダリングや点群処理でもパフォーマンスが落ちない筐体設計は、建設現場の重いデータ処理でも大いに役立つはずです。
家入氏: 建設業界特有の事情として、ソフトの推奨環境の縛りなどもあるのでしょうか?
鈴木氏: はい、そこは非常に重要です。例えば、建設系3D CADソフトでは、推奨スペックに「CPUはIntelに限ります」と明記されているケースがあります。動作検証環境がIntel製CPUで構築されていることが多いためですが、こうした背景もあり、サードウェーブでは建設業界向けにはIntel CPU搭載モデルを強く推奨しています。
家入氏: なるほど。他社製CPUも性能は上がっていますが、業務で使う以上、ソフトメーカーが保証している環境に合わせるのがリスク管理としても正解ですね。
鈴木氏: さらに、最新のIntel Coreプロセッサは「性能コア(P-core)」と「効率コア(E-core)」という2種類のコアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを採用しています。これがBIM/CIM業務には非常に相性が良いのです。例えば、3Dモデルを編集しながら、バックグラウンドでレンダリングを行ったり、クラウドとデータを同期したりといった「ながら作業」をしても、メインの作業が重くならず、UIの応答性が維持されます。Revitなどのモデリングソフトは、シングルスレッド(単一のコア)の性能が操作感に直結しますが、Intel Coreプロセッサはこのシングルスレッド性能も非常に高いため、サクサクとした快適な操作感を実現できます。
家入氏: 「BIM疲れ」という言葉が象徴するように、ソフトを買ったけれど使いこなせない、重くて動かないという現場の疲弊感は限界に来ています。しかし、それは適切なハード(PC)を選ぶことで解消できる課題でもあります。画一的なメーカー製PCではなく、自社の業務にフィットしたBTOパソコンを選ぶこと。そして、信頼できるIntel CPUと動作確認済みの安心感を手に入れること。サードウェーブのような国内BTOベンダーの存在は、建設業界が次のステージへ進むための強力なパートナーになると確信しました。
鈴木氏: ありがとうございます。まずは「今のソフトが重い」「何を買えばいいか分からない」というご相談からで構いません。サブスクやレンタルといったさまざまな買い方もご用意しております。3D CADソフト、BIM/CIMなど多機能なソフトに合わせたPCを調達する際や、新しい企画や周りの環境に合わせてハイスペックPCを入れ替えたいが高額であることなど、導入コスト面でお悩みの方向けに、イニシャルコストを抑えつつ、最新機器を手軽に導入できるサービスです。40年培った技術とサポート力で、建設現場のDXを足元から支えていきたいです。
家入氏: 本日はありがとうございました。
参考スペック
製品名:THIRDWAVE 4CX57-K
OS:Windows 11 Pro 64ビット
CPU:インテル Core Ultra 7 265KF(3.9GHz-5.5GHz/20コア/20スレッド)
メモリ:32GB
グラフィックス:NVIDIA GeForce RTX 5070 12GB GDDR7
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提供:株式会社サードウェーブ
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2026年1月23日