建設業界向けにICTソリューションを提供するリバスタの「BANKEN サイネージ」は、「建設現場の社員/技能者への情報伝達」「朝礼準備」「ポスター/掲示物の作成や更新作業」を大幅に効率化するデジタルサイネージだ。建設現場内の社員や技能者へ広くタイムリーに情報伝達ができる仕組みとして、工事の規模を問わず多くの現場で採用が広がっている。2025年10月28日には、本社や支店から緊急情報や経営層からのメッセージを各建設現場へ強制的に配信できる「プッシュ配信機能」、建設現場の仮囲いでよく使用される縦型のデジタルサイネージへ最適化された形で掲示物を表示できる「縦型モニタ投影機能」が追加された。
建設現場内に設置される朝礼看板には、現場配置計画図やゲート/揚重機/機材などの利用予定、月次安全目標など多数の掲示物が貼り出され、日々更新される。現場管理者はこれらの掲示物の作成や貼り換え、更新作業に工数を要し、業務の負担となっていた。
こうした課題を背景に、リバスタは2022年、建設現場向けデジタルサイネージサービスとして「BANKEN(バンケン) サイネージ」の提供を開始した。
人手不足が深刻化する中、朝礼準備やポスター/掲示物/施工体系図などの差し替え/更新の効率化は大きな意義を持つ。BANKEN サイネージの特長と効果、今後の展開について、リバスタ 現場DX事業本部 BANKEN事業グループ長 金澤諒氏に聞いた。
BANKEN サイネージの特長は、リバスタの建設現場施工管理サービス「Buildee(ビルディー)」との連携にある。Buildeeは、日々の調整会議における作業間連絡調整や入退場管理、安全書類作成などの幅広いサービスを提供する施工管理領域のクラウドサービスで、業界で広く普及している。Buildeeに登録された現場配置計画図などの最新データを自動で取得し、デジタルサイネージに即時反映できるため、朝礼準備における掲示/更新の手間や負担を軽減できる。
金澤氏は「BANKEN サイネージは現場の『手間を極力なくしたい』という切実なニーズに対応するサービスだ。PCを操作するだけで掲示する情報を簡単に更新でき、Buildeeとの連携で、更新の手間を大幅に削減できる」と語る。
BANKEN サイネージでは、ディスプレイ本体、再生端末のサイネージプレーヤー(STB)、通信環境(SIMルーター)、コンテンツ作成システム(CMS)を含め、必要な機能をワンストップで提供する。これらを別々に調達すると、不具合が生じた際にどのベンダーへ連絡すべきかが分かりづらく、原因を特定するにも時間がかかってしまう。
金澤氏は「導入から運用、サポートまで一貫して当社で対応している。問い合わせ窓口の一本化で万一のトラブルでもスムーズに解決まで導き、ユーザーに安心して利用してもらえる体制を整えている」と説明する。
朝礼看板や仮囲い、事務所/休憩所など多岐にわたる使用を想定し、液晶ディスプレイは屋外で使える防水の大型(86インチ)〜小型(43インチ)ディスプレイ、屋内用タッチパネル(65インチ、非防水)などを幅広く展開している。
屋外用ディスプレイは高輝度で、強い日差しの下や離れた場所からでも掲示内容をはっきり確認できる。表示するデータはコンテンツ作成システム(CMS)を介して、現場向けにデザインを最適化し、伝達内容を技能者が一目で理解できる。
操作性もシンプルだ。クラウド上のCMS管理画面にアクセスし、表示したい情報を選択するだけで、デジタルサイネージへ投影するコンテンツがテンプレートに沿って生成される。PCだけでなくスマートフォンやタブレットからもCMSにアクセスできるため、事務所だけでなく外出先や作業現場からでも更新が可能だ。事務所へ戻って印刷や差し替えを行う必要がなくなり、移動時間や残業時間の削減に直結する。
生成したコンテンツはデジタルサイネージへ即時投影できる他、投影スケジュールの設定も可能だ。複数コンテンツを組み合わせて「ループコンテンツ」として保存すれば、朝礼などで必要な情報をスライドショーのように自動で順番に再生できる。繰り返し使用できるため、毎日準備する必要もなくなる。
BANKEN サイネージを導入したある大手元請会社の現場では、朝礼看板や仮囲いの情報更新作業が、従来の手作業による30〜60分から、わずか5分〜10分に短縮。作業時間を最大で6分の1に削減できたという実績もある。利用者からは「空いた時間を安全確認や技能者との対話に充てられるようになり、現場の雰囲気が改善した」との声もあり、効率化だけでなく働きやすい環境づくりにも寄与している。こうした高い評価を背景に、採用現場数・設置台数ともに毎年着実に増加しており、BANKENサイネージの売上は前年を大きく上回るペースで成長を続けている。
金澤氏によると、「導入現場からは『操作が直感的で誰でも使いやすい』『掲示物更新の手間が大幅に減った』といった声も寄せられている。工事終了後に『次の現場でも必ず導入したい』と再導入が望まれるケースも多い」という。
本社や支店向けの機能として、現場担当者の手間を削減するために、季節ごとの安全ポスターや安全動画など、複数のコンテンツを1つのフォルダに集約し、各現場へ配信できる「配信フォルダ機能」や、現場で掲示してほしいデータをあらかじめテンプレートとして作成しCMS経由で展開できる「テンプレート作成・配信機能」などを備えている。さらに、必要に応じて本社/支店の管理者が現場のCMSに代理ログインし、スケジュール設定やコンテンツ編集を行える「現場サポート機能」も実装している。
2025年10月28日には、本社や支店から災害速報などの重要な情報を、各現場のデジタルサイネージへ迅速・確実に配信する「プッシュ配信機能」を実装した。
プッシュ配信機能では、本社/支店用CMSを通じ、管轄する現場のデジタルサイネージに同じ情報を一括送信できる。現場管理者が設定した投影スケジュールに割り込んで表示させることも可能で、災害などの緊急時でも、全ての導入現場に迅速かつ確実に重要情報を届けられるため、事故や災害のリスクに対する初動が早まり、現場の安全性向上につながる。
従来は本社からの通達が各現場担当者の手を介して伝わるため、伝達漏れや遅延、担当者の負担が課題だった。プッシュ配信機能では、こうした問題を解消し、全社的な情報共有の精度とスピードを高められる。経営層からのメッセージや全社的な方針を現場の技能者全員が同じタイミングで受け取れるため、現場全体の一体感醸成にもつながる。
金澤氏は「全社や支店単位で、重要情報や統一したメッセージを、迅速かつ確実に届けたいというニーズは高い。企業全体のガバナンス強化を強力に後押しする機能だ」とアピールした。
他にもBANKEN サイネージは、「場外」への情報発信の利便性向上にも取り組む。工事現場の仮囲いの外には縦型のデジタルサイネージが設置されることが多いため、10月28日に、縦型のデジタルサイネージへ最適化された形で投影できる機能も実装した。この他にも、地域とのコミュニケーションを円滑にし、建設現場への理解促進につながる機能も今後実装予定だ。
BANKEN サイネージは、現場担当者の負担軽減や業務効率化にとどまらず、企業全体のガバナンス強化、さらには地域社会とのコミュニケーションまでを担う存在へと進化しつつある。今後の展望として金澤氏は「現在はBuildeeとの連携が大きな特長であるが、今後は建設現場で活用される各種IoT機器や、他社が提供するサービスとの連携などを通じ、より網羅的な情報伝達を実現していきたい」と語る。BANKENサイネージは、建設現場を起点に、現場と本社、地域を結ぶ情報インフラとしての役割を広げつつあり、建設現場の効率化や情報共有を支える有効な手段の1つになるだろう。
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提供:株式会社リバスタ
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2025年11月27日