300mを潜行するFullDepthのクラウド型水中ドローン、ダムや洋上風力発電の点検に導入ドローン(1/3 ページ)

水中ドローンに特化して機体の開発とクラウドサービスを展開しているFullDepthは、2019年10月に最大潜行深度300メートルの新機種を市場投入した。

» 2019年12月24日 10時25分 公開
[石原忍BUILT]

 水中探査ドローンを開発している筑波大発のスタートアップ企業FullDepthは2019年12月19日、東京都台東区蔵前の本社で、プレス向けに最新機種の製品紹介&操縦体験会を開催した。

7基のクラスターで水中でも自在に移動

「DiveUnit300」の本体

 体験会に先立ち代表取締役社長 CEO・伊藤昌平氏は、産業用水中ドローンの開発に至った経緯を説明。社名ロゴの由来にもなっている深海魚“ナガヅエエソ”を、「自分で作ったロボットで深海に潜って見つけたい」と心に抱いたのがきっかけだったと振り返る。

 伊藤氏は「地表の7割は海で、そのうちのほとんどは深海が占める。深海の秘密を明かしたいとの意でFullDepth(=最深部)を社名とし、人類の活動領域を水中にまで拡張することをミッションに掲げた」と話す。

ナガヅエエソとFullDepthの社名ロゴ

 最新モデルの産業用水中ドローン「DiveUnit300」は、2019年10月に販売を開始。最大の特長は、7基のパワフルなクラスター(推進機器)を搭載したことで、深度300メートルへの潜行を実現した。

 これにより、浅場から深海まで幅広い海域を潜り、水中の映像や水温/水質など、さまざまなデータを取得できるようになった。導入用途もダムや港湾、洋上風力発電所、水産現場、深海の資源調査といった広がった。

 水中ドローンは、本体、セントラルユニット(PC、通信機器)、デザーユニット(ケーブル)で構成される。ドローン本体には標準で、フルハイビジョン(30fps)の高精細カメラ、1500ルーメンの高照度ライト4基、満充電時で4時間持つバッテリーを搭載。重さは一般的な水中探査機のおよそ半分となる約28キロで、クレーン無しで2人だけで持ち運べる。

「DiveUnit300」の機器構成
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